広島ドラ4の智弁和歌山・小林が仮契約 「赤い火の玉」実現へ あこがれの藤川球児を追う

[ 2020年11月16日 19:14 ]

仮契約交渉を終え写真に納まる(左から)広島・鞘師スカウト、小林樹斗、父・英樹さん、母・由起子さん(撮影・後藤 正志)
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 広島からドラフト4位指名を受けた智弁和歌山・小林樹斗投手(3年)が16日、和歌山市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金4000万円、年俸500万円(金額はともに推定)で仮契約した。将来性、潜在能力を高く評価される右腕は「契約させて頂いて、プロの世界に近付いた。気を引き締めて、残りの高校生活でしっかりとレベルアップをしていかないと思った」と表情を引き締めた。

 近い将来、必ず「赤い火の玉」を実現してみせる。和歌山県日高郡出身で、幼少時は大の阪神ファン。同じく虎党の父・英樹さん(43)に連れられ、多いときは年に10回程度、甲子園球場で観戦した。小林少年が心を射抜かれたのは、火の玉ストレートが代名詞の藤川球児だった。

 「直球で空振りが取れるのが魅力的で、小学生くらいからずっと好きです」

 観戦は主に右翼席。応援に声をからし、勝ち試合では藤川の躍動に心を躍らせた。帰途は疲れて寝てしまうことがほとんどだったが、背番号「22」が小林の野球選手としての原点。高校生になってからは動画での研究が日課ともなった。

 「ちょっとした仕草だったり、変えていることが、動画で気付く部分があった。同じチームや同じ打者と年間、何回も対戦する訳ですし、足の上げ方や視線でタイミングを外したり、グローブの位置とか、様々な部分で駆け引きをされている。年間で少しずつ変えられている」

 “マニア”の域に入るくらい、藤川の映像は見てきた自負がある。

 藤川は今月10日に引退試合を行い、現役生活にピリオドを打った。同日、小林はまずはプロ初登板初先発を果たしたヤクルト・奥川の投球をテレビ観戦。降板を確認すると、9回に間に合うように食事、風呂などを済ませ、万全の状態でテレビの前に座った。最後の勇姿に心を震わせ、決意を新たにした。火の玉を投じられるようになるには「体の強さ、柔軟性、瞬発力。全てをレベルアップしていかないといけない」と言う。「投げられたらいいですね」と火の玉を身につけるため、地道な努力を続けていく。

 実は少しだけ、接点がある。昨夏の甲子園大会、阪神時代の同僚だった智弁和歌山・中谷仁監督のもとに藤川から差し入れのサプリメントが届いた。小林はそれを飲みながら試合に臨んでいる。憧れの人とはプロの世界ではすれ違いとなったが「どこを任されても、しっかり勝ちにつなげられる投手になりたい」と目指すのは同じ「絶対的な領域」。大好きだった阪神は倒すべき相手となった。

 「絶対に抑えたいです」

 心はすでに赤く染まっている。

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2020年11月16日のニュース