ドラフト「隠し玉」四国IL高知・石井 高専出身の最速153キロ右腕は元ソフト・摂津タイプ

[ 2020年10月14日 05:30 ]

ドラフト「隠し玉」 ハンター菊地選手の発掘ナイン

最速153キロを誇る四国ILを代表する右腕の石井
Photo By スポニチ

 【四国IL高知・石井大智投手 23歳】この投手を「隠し玉」として取り上げるかどうか非常に悩みました。なぜなら一部ドラフトマニアにとって石井はすでに有名なドラフト候補だからです。

 マニアな読者からの「おい菊地、石井なんて隠し玉じゃないよ」というお叱りの声が聞こえてきそうです。でも私は声を大にして言いたい。いまだに独立リーグの注目度は低いのが現実です。そこであえて、独立リーグを代表する好投手を大々的に取り上げたい。そう決意したのです。

 珍しい高専出身の独立リーガーの石井は、秋田工高専で環境都市工学を学んでいます。「秋田で東日本大震災を経験して、地震に強い住宅を勉強したかった」という高い志で、5年間も研究に励みました。そんな右腕が一転してNPB入りを目指した裏には、秋田東中時代のチームメート・成田翔(ロッテ)の存在があります。中学時代にエースの座を争い、敗れた相手。ライバルが甲子園からプロへと華々しい世界に立つ姿を見て、石井のなかで「自分もプロに挑戦したい」思いが膨らんでいきました。

 親や周囲の目に葛藤しながら、最後は親友から「一回きりのおまえの人生、おまえの自由にやるべきだ」の言葉に背中を押され、四国ILの高知入団を決意。3年目の今季は9月に自己最速153キロを計測するまでに成長。決め球・シンカーを操り、空振りを奪えるのが大きな魅力です。

 プロで言えば、元ソフトバンクの摂津正に近いとみます。リリーフでも先発でも適性があり、直球を丁寧に低めに集めて、シンカーを決め球に使う点も近いものを感じます。

 6日までに9球団から調査書が届いている石井。彼が活躍できなかったら誰ができるんだ。多くの独立リーグファン、関係者がそう思っているはずです。支配下でのドラフト指名に期待しましょう!(フリーライター)

 ◆石井 大智(いしい・だいち)1997年(平9)7月29日、秋田市生まれの23歳。秋田東中では内野手。秋田工高専でエースを務めた。四国IL・高知入団3年目。球種は直球以外にシンカー、カーブが武器。1メートル75、81キロ。右投げ右打ち。

 ◆菊地選手(きくちせんしゅ)1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、2015年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(2010年10月8日)。野球部員の生態を分析する「野球部研究家」としても活動しつつ、さまざまな媒体で選手視点からの記事を寄稿している。著書にあるある本の元祖「野球部あるある」(集英社)などがある。ツイッターアカウント:@kikuchiplayer

続きを表示

2020年10月14日のニュース