マー君 初回失点も修正 今季最多“我慢”の95球「収穫」「もう普通にやれている」

[ 2020年9月7日 10:32 ]

オリオールズ戦に先発した田中(AP)
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 ヤンキースの田中将大投手(31)が6日(日本時間9日)、敵地ボルティモアでのオリオールズ戦で先発し、5回1/3を投げて6安打4失点(自責点2)1四球5奪三振1本塁打だった。初回に2点を失った田中は以降、立ち直ったものの、打線の援護なく今季2敗目を喫した。防御率は3・38となっている。

 初回の失点が最後まで響いた。「マウンドに上がってズレというものを感じていた」という田中は、先頭のアルベルトにバント安打を許すと、続くスチュワートに右越え本塁打を浴びてわずか4球で2失点。故障者続出の打線にはこの先制点は重く、結局、苦しむヤンキースは最後まで立ち上がりのビハインドを跳ね返せなかった。

 ただ、収穫も少なくないマウンドではあった。速球、スプリットの出来はもう1つでも、2回以降はこの日は44球を投じたスライダー、制球の良いカーブを軸に立ち直り、6回途中まで粘投。今季最多18の空振りの内、10は切れ味鋭いスライダーで奪い、自責点は本塁打の2点のみだった。

 本調子ではない日でも、使える球種を見つけ出し、立て直す術を見つけるという意味では田中らしい投球。「よく我慢して、粘って、その後は抑えることができた。そういう投球ができたのはすごくよかったと思います。収穫だと思います」と田中自身も納得した様子だった。また、今季最多の95球を投げきり、「投げようと思えばまだ全然エネルギーはあった。もう普通にやれている」。7月4日の練習中に打球が頭部に直撃し「軽度の脳振とう」と診断されて以降、続いてきた“ビルドアップ期間”の終了を改めて宣言している。

 このように田中は安定してきているが、チームは直近の18試合中13敗と泥沼。この日、オリオールズに敗れ、ブルージェイズがレッドソックスに勝ったことで地区3位に転落。4位のオリオールズも2ゲーム差で迫っており、当確視されていたポストシーズン出場にも黄信号が灯り始めた。

 短いシーズンは残りちょうど20試合。「チームにとっては今厳しい向かい風が吹いている。この状況を乗り越えていかなければいけない。と思うので、1試合1試合、ベストを尽くして、全部出し切って戦っていくしかない」と前を向く田中にかかる重責も大きくなりそうだ。(杉浦 大介通信員)

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2020年9月7日のニュース