日本ハム・上沢、完全復活へ 初球いきなり150キロ リハビリ支えた妻へ捧ぐ登場曲「ありがとう」

[ 2020年7月1日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム1-1ソフトバンク ( 2020年6月30日    札幌D )

<日・ソ>日本ハムの先発・上沢は5回1失点(撮影・高橋茂夫)
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 完全復活への第一歩だ。昨年6月18日のDeNA戦で打球を受けて左膝蓋(しつがい)骨を骨折した日本ハムの上沢直之投手(26)が30日、本拠地開幕戦のソフトバンク戦で378日ぶりに先発。チームは今季初の延長戦で1―1の引き分けに終わったが、5回2安打1失点と復活を印象づけた。4年ぶりの日本一を狙うチームに頼もしい右腕が帰ってきた。

 マウンドに立てる喜び、感謝。野球少年のようにワクワクした気持ちで上沢が復活の第1投を投じた。初球がこの日最速の150キロを計測。「僕が一番びっくりした」と振り返ったが、リハビリ生活を支えた全ての人の思いを背負ったからこその納得のいくきれいな球筋だったのだろう。

 「楽しみながら投げられた。長かったけど、いろんな人に支えてもらいながら野球ができていると感じた。もう1回(リハビリ生活を)やれと言われれば嫌ですけど、大切な時間だった」

 登板前。リハビリ生活を支えてくれた妻から「1軍で投げられる日が来ると信じていた。つらかったと思うけど少しでも力になれたなら良かった」と送り出された。入院していた時は朝から晩まで付きっきりで見守ってくれた妻への感謝の思いを込め「FUNKY MONKEY BABYS」の「ありがとう」を1試合限定で登場曲に選んだ。

 三塁側スタンドには1000枚超のファンの顔写真で形成した「FIGHTERS」の文字がマウンドに上がる上沢の背中を後押しした。「お客さんがいたらもう少し力んでいたかもしれない。いないことで初回はスッと入れた。でも、僕らはファンの前で野球ができるのが幸せ」。直接ファンに雄姿は見せられなかったが、つらい時でも声援をくれたファンの見えない力も感じてのマウンドだった。

 初回は3者三振。「らしくないので、正直3者三振じゃなくてよかった」と笑ったが、最高の滑り出し。3回に犠飛で先制点こそ許したが、同期入団の近藤の適時二塁打で同点とした後は流れを渡さなかった。

 上沢は試合後のベンチで栗山監督と面談。今後は登板翌日の体調を確認した上で、出場選手登録を抹消されることが濃厚だが「今日は復帰できてよかったと思う。ただ、これからはどんどん結果を求めてやっていってほしい」とエースとしての働きを期待された。上沢も「復帰はもう終わった。これからは優勝を目指してチームの勝利に貢献しないといけない」と表情を引き締めた。感謝の気持ちを胸に、完全復活への大きな第一歩を踏み出した69球だった。(東尾 洋樹)

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