プロ野球 移動時リスク減へチャーター機利用案 6月開幕を目指すことで12球団一致

[ 2020年5月12日 05:30 ]

「Zoom」で会見を行ったNPBの斉藤惇コミッショナー

 プロ野球は11日、オンラインで12球団代表者会議を開き、6月中の開幕を目指すことで一致。直前に行われた新型コロナウイルス対策連絡会議で専門家チームからの提言を受け、最短6・19を目指していた開幕日の設定はできなかったが、感染のリスクを下げるためにチャーター機利用や地域集中開催案など前例にとらわれないアイデアを練り、試合開催を模索する。次回会議は22日に開かれる。

 選手、ファン、全てのプロ野球関係者が待ち望む開幕日は決まらなかった。ただ、12球団が一丸で6月開幕を目指す方針は決まった。斉藤惇コミッショナー(80)は「何度も開幕の日付が決まらないのは残念だし、選手、ファンの方々にも大変心苦しい。ここから2週間、状況を見ながら準備し、整うことを条件として来月半ばから下旬のどこかでの開幕を目指そうと12球団で一致している」と語った。

 全国への緊急事態宣言が今月末まで延長されたばかりの現状。専門家チームからは「現時点で何月何日と決めることは難しい」との提言も受けた。それでも当面は無観客で開催する方針は決まっており、会議では飛行機、新幹線など移動時の感染リスクの解消について議論が交わされた。日本ハム、ソフトバンクなど飛行機移動が多い球団はチャーター機の利用を検討。新幹線はグリーン車を借り切るプランも挙がった。

 セ・リーグが首都圏、パが関西圏に一定期間集まって移動を減らす集中開催案について、斉藤コミッショナーは「意見としてアイデアは出ている。賛成もあれば反対もある」と明かした。ヤクルトの江幡秀則専務取締役は「一長一短あって、あるチームが不利になるのはどうか。バランス良い組み合わせを複数案検討している」と明言。日本ハムの川村浩二球団社長兼オーナー代行は「(同一カード)3連戦を6連戦にして回すのがいいのか。行ったり来たりしないような組み方をしていく」と大胆な案も語った。

 開幕日は同じ金曜の6月26日も候補だが最短目標は同19日。120試合程度を想定する。5月末までの緊急事態宣言の解除が前提条件も、今後は各チームが開幕に向けて個人練習から全体練習に強度を上げ、6月以降の対外試合を見据える。感染防止のガイドラインも新たに作成する予定。政府は今月21日に5月末を視野に入れた今後の方針を示す見込みで、開幕日設定も視野に入れた次回の対策連絡会議と代表者会議は翌22日とした。

 「みんながサポートし理解して、“楽しみにしてるよ”という形になれば日にちを決めたい」と斉藤コミッショナー。暗中模索の日々は続くが、英知を集め、球音を取り戻す。(後藤 茂樹)

 【専門家たちによる見解】

 ▼賀来満夫氏(東北大名誉教授)緊急事態宣言が延長されている現時点において、本日の会議で開催の日時を具体的に決めることは難しいとお伝えした。韓国、台湾プロ野球のガイドラインも入手して参考にさせてもらっている。できるだけ早めに(新たなガイドラインを)作りたい。6月の中旬以降の開催については現時点では判断が非常に難しい。(移動リスクを減らすために)例えば移動を少なくする形でまずやっていくことを第1段階として、第2段階は状況を見ながらとか。国民の方々の意見、世論など柔軟に考慮しながら進んでいくことが求められている。

 ▼舘田一博氏(東邦大医学部教授)確実に緊急事態宣言の効果が出ていて、感染者数が減っているというのは非常に大事な事実。ただ、新しいクラスターがいつどういう状況で起きるか分からない。それがこの感染症の怖さ。できるだけ防ぐようなガイドライン、マニュアルを事務局と一緒になって相談をしていく。日本の特徴もうまく盛り込んでより効率的な、より安全なガイドラインを作っていければ。政府の方から新しい生活様式というのが出された。それもガイドラインの中にも反映していかなければいけない。

 ▼三鴨広繁氏(愛知医大感染症科部長)一番大きな問題は移動のリスク。それが選手の側からも上がっていると聞いた。さらに開幕した後に(感染の)第2波、第3波というものがどうしても予想される。チームに2、3人と感染者が出て、他のチームには出ていないとなると戦力不均衡が生じる。そういった時の対応は前もって考えておいた方がいいのではないかと思う。(全体練習の再開などは)緊急事態宣言が解除されてから考えるべき課題だというふうに我々は認識している。

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2020年5月12日のニュース