阪神・原口が実戦復帰 大腸がん公表から97日「やっぱり野球は楽しい」

[ 2019年5月9日 05:40 ]

ウエスタン・リーグ   阪神2―1中日 ( 2019年5月8日    鳴尾浜 )

阪神・原口を一目見ようと大勢の観客が訪れた (撮影・後藤 大輝)  
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 大腸がんからの復帰を目指す阪神・原口文仁捕手(27)が8日、鳴尾浜球場で行われたウエスタン・リーグ中日戦で実戦復帰した。8回1死走者なしから代打出場。右中間最深部への右飛に終わったが、その先に見据える1軍復帰へ向け前進した。

 不屈の男・原口が、帰ってきた。自身のツイッターで手術終了を報告してから97日目。8回1死無走者から、伊藤隼の代打として実戦復帰を果たした。

 「バットを振れるかな、という不安があったんですけど、打席に入ったら、久しぶりだったけど、いつもと変わらない気持ちでできた」

 鈍っていて当然の感覚が、打席に入ると鮮明によみがえってきた。1ボールからの2球目。外角高め144キロを捉えた打球は右中間最深部へ飛んだ。フェンス際で右翼手・藤井の好守に阻まれたが、どよめきが起こるほど鋭い打球だった。

 「打席では集中しちゃうタイプで、甲子園でも聞こえないくらいですが、今日は少し耳にも入ってきた。うれしい気持ちと“よし、これからやるぞ”という意気込みで(打席に)入っていきました」

 代打がコールされた時はもちろん、右飛に倒れても場内からは拍手が送られた。その後、チームはサヨナラ勝ち。マイクパフォーマンスを任されると、思いの丈をぶつけ、満員札止めのスタンドを大いに沸かせた。

 「やっぱり野球は楽しいですね。最高です。ありがとうございました!」

 1月24日に大腸がんを患ったことを公表。手術を経て、2月14日から甲子園球場でリハビリを開始した。4月16日に屋外フリー打撃を再開。少しずつ、着実に歩を進めてきた。

 「生きているということはすごくありがたいと実感できた。プラス、NPBというところで野球ができていることがすごく幸せなことだし、活躍することでたくさんの人に勇気、夢を与えられると思うと、本当に、頑張るしかないな、と」

 何度も苦境を乗り越えてきた。腰痛で3年目が終了した12年のシーズン後に育成契約。13年4月の練習中には左尺骨を骨折したこともある。それでも、そのたびにはい上がった。だから、今回も「つらい気持ちはなかった。復帰のイメージはできていたので」と言い切る強さがある。

 イニング間に投手の球を受けるなど、守備練習も再開している。完全復活まであと少し。満員の甲子園球場で輝く原口が見られる日は、そう遠くない。(巻木 周平)

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2019年5月9日のニュース