4年目で見つけた「生き抜く術」…巨人・岡本 松坂と共通した“こだわり”

[ 2018年3月19日 11:20 ]

<ロ・巨>9回2死満塁で右中間に適時打を打つ岡本                                                                                      
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 開幕スタメンへ向けて巨人の岡本和真内野手がオープン戦で猛アピールを続けている。一塁を争うのは、巨人をけん引してきたベテラン阿部だが、岡本は18日のロッテ戦で2ランに加えて、走者一掃の左中間逆転二塁打と全5打点を記録。キッチリと結果を残し、レギュラー奪取の可能性も膨らんできている。

 14年、ドラフトで巨人から1位指名を受けた2カ月後の12月下旬に母校の智弁学園のグラウンドで汗を流す岡本に取材を行った。「(2学年上の)大谷さん(当時日本ハム)、藤浪さん(阪神)、1つ上の松井裕樹さん(楽天)、森友哉さん(西武)も年が近いとは思えない。同じ土俵で戦う自信なんてありません」と不安な顔をのぞかせていた。正直、おおらかすぎて、とてもプロの世界で戦っていけるとは考えられなかったが、一つだけ忘れられない出来事があった。

 外で全力で素振りを行うシーンを写真撮影した時だ。連写をしていると「写真を見せてもらえますか?」と言って、コマ送りにして見た。すると、気になったところがあったのか「もう1度お願いします」と言って、何度か連写→確認→素振りを繰り返した。時間にして30分以上。強烈なこだわりを持った選手だなとは感じていた。

 その時に思い出したのは、08年にレッドソックスの松坂大輔投手にインタビュー取材を行った時のことだ。「写真を撮る前にビデオを撮ってもらえませんか」と言って、素人ながら構えた。延々終わらなかった。ビデオを見て投球フォームをチェックし「バランスが悪い」といっては、今度はタオルを持ってシャドーピッチングを繰り返す。1時間以上やったものだから「(インタビューは)今度でお願いします」とにこやかに去られてしまった。

 特長のぶつかり合いがプロの世界ともいえる。ゾーンに入ったら何者も寄せ付けない集中力もその一つなのだろう。もう1回、18歳だった岡本少年のインタビューを録音したテープレコーダーを聞き直した。

 「中途半端にはなりたくない。今は自分が何で生き抜くかということは分かっていないですが……。でも、1個でもいいから、平均ではなくて飛び抜ける部分を見つけていきたい」

 小さな声で、ただはっきりとそう話していた。昨年までとはまるで違う岡本の迷いなきフルスイング。探し続けた「生き抜く術」を見つけたのだろう。(記者コラム・倉橋 憲史)

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