清宮 選手宣誓言葉は小林麻央さん「愛してる」がきっかけ

[ 2017年7月9日 05:30 ]

高校野球東西東京大会開会式 ( 2017年7月8日    神宮 )

選手宣誓を行う早実・清宮
Photo By スポニチ

 野球を愛しています――。第99回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の東西東京大会の開会式が神宮球場で行われ、高校通算103本塁打を誇る早実の清宮幸太郎内野手(3年)が野球愛あふれる選手宣誓を行った。2年ぶりの夏の甲子園出場を目指す早実は15日の3回戦から登場する。清宮の高校最後の夏が幕を開けた。

 神宮球場1万5000人の観衆の目が本塁付近に注がれる。静寂の中「宣誓…」と切り出した清宮は、1分14秒間、よどみなく言葉を連ねた。

 「私たちは野球を愛しています。野球の神様に愛されるよう、全力で戦うことをここに誓います」

 スタンドの両親、仲間、野球に対する感謝の思いが込められた。

 真っすぐ前を向き、一点を見据え、堂々と「愛」を口にした。6月22日に乳がんで死去したフリーアナウンサーの小林麻央さん(享年34)が夫の歌舞伎俳優・市川海老蔵へ伝えた最期の言葉「愛してる」がきっかけだった。「好きというより、愛しているの方がより思いが伝わる」。そして続けた。「100点じゃないですか」。野球では絶対にない満点を自らに付けた。

 春季東京都大会の優勝校の主将に与えられる大役。こだわり抜いた。宣誓の時間は過去の甲子園や都大会の映像で最適な長さを探った。当初は7月5日に終了する試験後に宣誓文を考える予定だったが、6月下旬から熟考した。試験後3日間で頭に叩き込み、前日には文面を二塁手の橘内に披露。「キヨっぽいね」とチームメートの同意も得た。練習では主将として張り上げるため、かすれがちな声も、この日は澄んでいた。「(前日の練習から)声を整えた。荒らげないように抑えました」と冗談めかしたが、真剣だった。

 開会式では昨夏の西東京大会を制した八王子学園八王子が優勝旗を返還。昨年準々決勝で4―6で敗れた相手だ。「悔しい思いが再燃してきた。もう一回あの優勝旗を取り返そうという思いになった」と清宮。2年ぶりの頂点へ、戦闘モードに切り替わった。

 「全力プレーは高校球児の代名詞。高校球児らしく野球をしていればおのずと野球の神様も愛してくれて、それが勝ちにつながる。早実の夏にしたい」

 歴代最多とされる高校通算107本塁打まであと4本と迫る最後の夏。初戦は15日。今度はバットで、ファンに野球の素晴らしさを伝える。 (東尾 洋樹)

続きを表示

この記事のフォト

2017年7月9日のニュース