不動の5番で存在感示す DeNA・宮崎敏郎

[ 2017年7月4日 09:30 ]

打撃練習をするDeNAの宮崎
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 【宮入徹の記録の風景】素質開花のシーズンだ。DeNAの宮崎敏郎内野手(28)は3日現在、60試合に出場し、打率・3363(リーグ1位)、7本塁打、33打点と好成績を残している。先発出場は58試合あって、うち5番が56試合。5月21日の巨人戦からは33試合連続で先発5番に定着し、筒香、ロペスとともに強力クリーンアップトリオの一角を担っている。

 打撃データから読み取れるのが、バットコントロールの巧みさと各方向に打ち分ける高い技術だ。ここまで喫した三振はセの規定打席到達者の中では最少の23。三振を打席数(244打席)で割った三振率は・094と極めて低い。次いで少ない阪神の鳥谷が・112だから、宮崎はリーグで唯一1割を切っていることになる。三振に打ち取られた投手は22人いて、2三振は巨人のマシソンだけ。他は全て1三振と対応力に非凡さが伺える。

 安打の打球方向は内野安打4本を除くと左翼16、左中間5、中堅23、右中間3、右翼23と広角にマーク。幅広く安打を放ち高打率をキープしている。得点圏打率も・339でリーグ5位と勝負強い。さらにチームが1点ビハインドの状況では、28打数14安打、2本塁打、11打点、打率・500と大暴れ。反撃の起点となる活躍ぶりは首脳陣にも頼もしく映っていることだろう。

 昨年宮崎はプロ入り以来自己最多の101試合に出場。規定打席不足ながら打率・291と健闘した。初めて月間10試合以上に出場した5月は打率・333。以後、6月・304、7月・286、8月・290、9月・296。そして今季は4月・302、5月・352、6月・321、今月も2試合ながら・500と安定した足取り。レギュラーポジションを獲得してからはスランプ知らずといっていい。

 打つだけではない。宮崎は守備でもチームに大きく貢献している。今季三塁手として46試合の出場。失策は5月7日ヤクルト戦の1回に鵜久森のゴロ処理を誤った1度だけ。送球ミスはここまでなく、守備率はリーグ1位の・991と高い。セの規定試合に達している三塁手は宮崎を含め4人。守備率2位の阪神・鳥谷が・971(4失策)、3位の巨人・マギーが・966(6失策)、4位の広島・安部が・958(5失策)だから安定ぶりが目立つ。

 三塁手のシーズン最高守備率は11年にヤクルトの宮本慎也が記録した・997。守備機会292で失策1と鉄壁を誇った。DeNAでは大洋時代の90年に清水義之が記録した・992が球団記録として残っている。痛烈な打球が飛んでくることから、三塁はホットコーナーと呼ばれるほど集中力が要求されるポジション。実際、シーズン守備率1位の三塁手がその年に併せて首位打者になったのはプロ野球の歴史で1人もいない。

 巨人の長嶋茂雄でも6度首位打者に輝いた年の三塁守備率順位は59年2位、60年3位、61年3位、63年2位、66年3位、71年3位と全て2位以下。守備率1位だった67年は打率・283(12位)、同じく69年・311(3位)、73年・269(13位)と、首位打者との同時獲得は実現しなかった。今季の宮崎は、未到の記録にチャレンジしている。 (専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、1回目の91年から26回連続で資料説明役として出席。

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