「さすが新井さん」23年ぶりOP戦代打逆転満弾 広島首位タイ浮上

[ 2016年3月20日 05:30 ]

<ソ・広>7回、満塁弾を放ち、ベンチのナインとハイタッチを交わす新井(右)

オープン戦 広島9-3ソフトバンク

(3月19日 ヤフオクD)
 広島・新井貴浩内野手(39)が、ど派手なアーチをまた掛けた。19日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で3点を追う7回、左翼ポール際へオープン戦3号となる代打逆転満塁弾だ。ベテランが起点となった打線は終盤に爆発。先発・ジョンソンは6回途中6安打3失点だったが、救援陣が本気モードの零封リレーで鷹の反撃を封じ、チームはオープン戦首位タイに躍り出た。

 まさに、ひと振りで流れを変えた。鷹の先発・バンデンハークに6回まで「0」を並べられ、そこはかとなく敗戦気配が漂い始めた、3点を追う終盤7回。相手の救援陣から石原の左前打と敵失、四球を絡めて築いた無死満塁の絶好機に、代打・新井がコールされた。

 「満塁だったし、ひと振りで決められてよかった。打席での見え方もいい。開幕も近いし、いい内容を続けていきたい」

 左腕・森福がカウント1―1から投じたスライダー。飛距離を求めるには厳しい内角低めだったが、十分に引き付けてバットをコンパクトに振り抜くと、高々と舞い上がった打球は左翼ポール際のスタンドで弾んだ。チームを勝利に導く値千金の逆転アーチだった。

 「飛距離? 少しずつ手応えを感じている。角度がついた、いいフライが上がっているので」

 昨年8月13日のヤクルト戦(マツダ)以来、オープン戦では01年3月23日の阪神戦(松山)で川尻から放って以来、実に15年ぶり2本目のグランドスラム。今春は、15日のヤクルト戦(神宮)、翌16日の日ハム戦(鎌ヶ谷)に続く一発で、オープン戦での3本塁打は08年以来8年ぶりだ。

 2年連続1桁アーチに終わった反省から「振り切る」をテーマに掲げ、飛距離を追求する現役18年目。技術的にはバットを長く持つ工夫を試みるが、肉体的な裏付けも見逃せない。昨オフは例年以上にハードなトレーニングを課し、バーベルスクワットでは自己最高の240キロを担ぎ上げた。

 「シーズンオフからしっかり練習できているのがいい。ケガもないし」

 オープン戦はこれで29打数9安打6打点、打率・310。確実に状態を上げ、昨季の日本一軍団を粉砕したベテランを、緒方監督は「さすが新井さん。シーズンでも頼みますよ。きょうは、これだけでいいでしょ」と、おどけつつ称えた。

 無論、新井に慢心、油断は一切ない。残り29本に迫る2000安打の早期達成に期待が膨らむ現状。だが、本人はもっと先を見つめている。

 「節目の記録もあるげど、優勝するために打てるだけ打ちたい」

 頼れる39歳。シーズン開幕が待ち遠しい。(江尾 卓也)

≪井上以来23年ぶり≫新井(広)が代打逆転満塁本塁打。オープン戦の代打満塁本塁打は13年3月14日ロッテ戦で多村(D)が放って以来。代打逆転満塁弾は93年3月6日近鉄戦で井上(横)が8回4―6から記録して以来23年ぶりになる。新井自身のオープン戦通算本塁打は27本目だが、満塁弾は01年3月23日阪神戦でマークして以来15年ぶり2本目だ。

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