「江夏賞」5年目左腕 左殺し3人斬り 巨人スカウトも警戒

[ 2015年2月12日 10:00 ]

<日・神>8回無死、谷口(奥)を二ゴロに打ち取る島本

練習試合 阪神1―3日本ハム

(2月11日 名護)
 「江夏賞男」が力を見せつけた。プロ入り5年目にして初の1軍キャンプに参加している阪神・島本が4番手で登板し1回無失点、1奪三振の好投。左打者3人を完ぺきに封じ込んでアピールした。

 「投げる前から左打者が来ることが分かっていた。僕は左打者を抑えないといけないので」

 8回、登板前のブルペンで相手打線の並びを見て気合を入れ直した。心意気を表すように、先頭の谷口にはオール直球勝負を挑んで、4球目のこの日最速となる143キロで二ゴロ。続く北も3球で追い込むと、142キロ直球でまたも二ゴロに打ち取り、最後も代打・大嶋をフォークで空振り三振。わずか11球でスコアボードに0を刻んだ。

 「(2年前を思い出すと)ちょっと緊張はしましたけど、どうせ打たれるなら思いきり腕を振ろうと思った」

 あの時、1つも取れなかったアウトを、いとも簡単に奪った。13年3月12日のヤクルトとのオープン戦(甲子園)で7回から登板するも四球、2ラン、四球と1死も奪えずKO。顔面そう白でベンチに戻った。果てしなく高く感じた1軍の壁。リベンジの思いだけを胸に刻み、もう一度鍛え直して昨年11月に念願の支配下登録を勝ち取った。

 キャンプ初日から精力的に投げ込み、江夏臨時投手コーチからはMVPに指名され、愛用のグラブも授かった。宜野座を後にした“師匠”も快投に大きくうなずき、ほおを緩めているはずだ。

 昨秋キャンプで大野臨時投手コーチから教わったシュートも2球投じ、「シュートでファウルも取れた」と収穫を口にした。中西投手コーチは「いいスタートを切ったな。(加藤、高宮といる左の中継ぎに)島本が入ってきたらおもしろくなる」と目を細めた。

 「しっかりと投げることができて良かった。これからも結果にこだわっていきたい」

 一度は1軍マウンドで地獄を見た男が「新戦力」として帰ってきた。背番号69が開幕1軍入りへ堂々と名乗りを上げた。

 ▼巨人・三沢スコアラー コントロールもキレもいい。左は加藤、高宮もいるけど、十分(1軍争いに)入ってくる。

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