大谷1号は芯詰まり打法 バット上でボール転がすイメージで左翼席へ

[ 2015年2月12日 05:58 ]

<日・神>2回無死、大谷が対外試合初打席で“今季1号”を放つ

練習試合 日本ハム3―1阪神

(2月11日 名護)
 これぞ「芯詰まり打法」だ!日本ハム・大谷翔平投手(20)が11日、キャンプ地の沖縄・名護で行われた阪神との練習試合に「5番・DH」で先発。2回の初打席でいきなり「今季1号」を放った。詰まりながらも反対方向のスタンドまで運ぶ、大谷独特の技術を披露。昨季は10本塁打を放ち、日本球界初の2桁勝利&2桁本塁打の偉業を達成したが、今季は栗山英樹監督(53)が期待する「3割20発」も決して夢ではない。

 名護市営球場のスタンドがどよめいた。差し込まれたかに見えた大谷の打球は高く舞い上がり、左翼席に飛び込んだ。

 「ちょっと詰まっていたので入るかなと思ったけど、風も左方向に吹いていたので助けられた」

 1点リードの2回無死。阪神先発の金田に2ボール2ストライクと追い込まれたが「直球とフォークの五分五分くらいで待っていた」と冷静だった。146キロ真ん中やや外寄りの直球。少し遅れ気味にバットを出し、こするようにかち上げた。6日の紅白戦(名護)では2打数無安打に終わったが、対外試合初打席でいきなり2015年初アーチが飛び出した。

 大谷は独特の表現で解説した。「バットの根元というか“芯詰まり”(で打った)。切れなかったので、良い打ち方だった」。そこには高度な技術が凝縮されていた。

 先日、昨季限りで現役を引退した日本ハムの稲葉篤紀スポーツ・コミュニティ・オフィサー(SCO)とテレビ番組で対談した際にも「“芯詰まり”のところからボールをバットで転がすイメージ」と語っていた。一般的には芯で捉えた方が打球は飛ぶ。だが大谷の場合、スライス回転の打球を打つようにあえてバットを体の内側から出して、芯よりやや手元から押し出す(ボールを転がす)ように捉える。

 実際に「転がる」ことはないが、コンマ何秒、ボールとバットの接触時間が長くなることで、より力が伝わる。だから、詰まっても逆方向のスタンドに届く。実際、昨季も10本塁打中、5本が左翼方向。林打撃コーチは「バットを切るタイプではない。押し込んでバチッと打つのでファウルにならない」と解説する。右と左の違いはあるが、通算510本塁打の落合博満氏や、同525本塁打の清原和博氏をほうふつさせる打ち方だ。

 「二刀流調整」で打ったことにも価値がある。9日の紅白戦登板から中1日での野手出場。さらに、この日の試合前には捕手を座らせブルペンで37球を投げ込んだ。栗山監督は「(紅白戦は)球数が少なかったし、トレーニングの一環」と説明。入団時から9キロ増量し、現在は95キロと体力的にも成長している。中1日での野手出場が増えれば、打席数も当然増える。

 本塁打は1年目は3本、2年目の昨季は10本の大台に乗せた。「もともと逆方向の方が打てる」という「芯詰まり打法」にさらに磨きもかかった。「打つべき球の見極めができて、昨年より落ち着けている」。投手としては17日の韓国・KIAとの練習試合(名護)で今季2度目の登板を果たすが、まずはバットで3年目の進化を見せつけた。

 ▼ロッテ・高木晃次スコアラー 真ん中から外は要注意。(昨季は死球0も)きちっと厳しいところを攻めて、外寄りの球を踏み込ませないようにしないといけない。

 ▼ヤクルト・西沢浩一スコアラー 逆球の失投だが、あそこまで押っつけて飛ばすのだから凄い。

 ≪大谷の1号≫

 ☆13年 3月17日、中日とのオープン戦(鎌ケ谷)に「7番・右翼」で出場してプロ1号本塁打。それまで紅白戦1試合に加えて練習試合、教育リーグ、オープン戦に野手として出場。対外試合では10試合、30打席目にしての一発。

 ☆14年 投手としての調整が中心で、紅白戦も野手での出場はなし。2月中は韓国・サムスン、ロッテ、韓国・KIAとの練習試合で打席に立った。初アーチは3月4日、巨人とのオープン戦(札幌ドーム)の初回、4試合11打席目だった。

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