ヤクルト 最下位だけど最強!9戦連続2桁安打、8月は6勝1敗首位

[ 2014年8月9日 05:30 ]

<D・ヤ>3回2死一、二塁、3ランを放った山田(中央)は石川(左)、中村と一緒にナインの出迎えを受ける

セ・リーグ ヤクルト12-3DeNA

(8月8日 横浜)
 ヤクルトは8日、DeNA戦で球団記録を更新する9試合連続2桁安打となる16安打12得点で大勝した。今季売り出し中の山田哲人内野手(22)が21号3ランを含む3安打3打点、川端慎吾内野手(26)が4安打でプロ野球記録にあと1と迫る4試合連続の猛打賞。チームは連日の猛打で、チーム打率・290、495得点は12球団トップ。8月は6勝1敗の首位で、セ・リーグの大混戦を演出している。

 すべてをのみ込み、根こそぎさらっていくような破壊力だ。9連敗中だったDeNA相手に、しかも今季は過去5戦5敗と天敵だった井納を攻略しての大勝。小川監督は喜びを通り越して、今後の心配まで口にした。

 「これだけ打てるのは凄い。逆にパタッと止まったときは、みんな止まっちゃうのかな。そんな変な心配はしなくていいのかもしれないけど」

 首位打者を争う若手2人が、この日もけん引した。まずは山田が3回に2戦連発となる21号3ランを放つなど3安打3打点。96試合で135安打とし、ついにシーズン200安打ペースに乗せた。打率も・338とし、リーグ2位に浮上。トップを走るマートン(阪神)に1分差に迫った。「外を狙って踏み込んだら、たまたま本塁打になった」と振り返った。

 3番・川端も負けていない。いずれも逆方向の左側へ打ち返す4安打の固め打ちで球団新記録となる4試合連続猛打賞。打率も4位の・333と急上昇し同僚の山田を猛追。「今年は点差が開いても集中できている。自分でも怖いくらい」と戸惑いの表情さえ浮かべた。

 なぜこんなに打てるのか。杉村打撃コーチは「カウントバッティング」をひとつの要因に挙げる。打撃のカウントは0―0からフルカウントまで12通りあるが「初球が一番打ちやすい。だからみんなでそれを狙う。すると相手が警戒してボールから入る。0―1になれば打者はもっと有利になる」という。実際に山田の3回の本塁打は2球目のファーストストライクで、川端は4安打中、2本が初球打ちだった。

 さらに早出練習で選手は基本、ティーバッティングしかしない。前日の試合で崩されたフォームを元に戻すのが狙い。杉村コーチは「打撃はタイミング、ポイント、バットの軌道の3つに成り立っている。ティーはこの全てを鍛えることができる」が持論だ。

 ベンチで控える押尾チーフスコアラーの存在も大きいという。スコアラー陣から集めた相手投手の配球の傾向を細かく分析。しかも狙い球などを記した資料を各打者ごとに用意しており、打者は頭を整理してから打席に向かうことができる。6年ぶりに1軍の現場に復帰した杉村コーチは「以前とは中身が全然違う。押尾は12球団イチだと思うよ」と感謝の言葉を口にした。

 データに裏打ちされた積極的な攻撃姿勢。チームは依然として最下位だが、結果を恐れぬその姿勢は、セの他5チームにとって脅威の的だ。

続きを表示

この記事のフォト

2014年8月9日のニュース