MVPのマー君 メジャーOK 三木谷オーナー後押し発言

[ 2013年11月27日 05:30 ]

楽天社員と記念撮影に納まる(前列左から)嶋、藤田、星野監督、三木谷オーナー、田中、則本

 プロ野球コンベンションが26日、都内のホテルで開かれ、今季のパ・リーグの最優秀選手(MVP)に、楽天・田中将大投手(25)が満票で初めて選ばれた。また同日、楽天の三木谷浩史オーナー(48)は、日米間で協議中の新しいポスティング・システム(入札制度)が成立して同投手が大リーグ移籍を望んだ場合、容認する考えを初めて公の場で示した。新入札制度は日米間で27日にも合意する可能性があり、同オーナーの移籍「同意」で田中の夢は加速する。

 リーグ最高の栄誉となるMVP。その重みを感じ、言葉をかみしめながら田中は語った。

 「優勝してこの賞を頂けたのはうれしい。一試合一試合、この試合を勝つんだという気持ちの積み重ねでここまでこられた。野球人として最高のシーズンを送れた」

 24勝0敗1セーブ、防御率1・27。有効投票数233票すべてが1位票という満票での初受賞だった。しかもベストナインと同年に満票選出は、パでは野村克也以来だ。「野村監督との縁も感じますね。この賞に恥じないように、自らを向上できるように頑張る」と表情を引き締めた。

 そしてこの日、大リーグ移籍へ向け、新たな展開があった。星野監督や田中らから都内の楽天本社で今シーズンの報告を受けた後、三木谷オーナーは「無責任な発言は控えたいと思う」と前置きした上で「個人的には、若い人が海外挑戦するのはいいことだと思う」と言及。これまで田中の去就問題には沈黙を貫いてきた同オーナーが、田中の大リーグ移籍を事実上、容認した。

 同オーナーは交渉が難航している入札制度について「仕組みが決まらないことには、我々としてもどうしようもない。僕らの手を離れた話。それが決まってから正式にお話をさせていただきたい」としたが、田中の希望に理解を示した形だ。入札制度は現在失効状態だが、田中が移籍する場合に成立していることが必要な新制度については、日本側は米国が感謝祭の祝日に入る28日までにまとめたいとしている。

 田中は昨年12月の契約更改交渉の場で3年契約を結んだが、将来的な大リーグ挑戦の希望があることを球団側に伝えた。今オフ移籍を希望するかどうかは、まだ明言していない。アジア・シリーズ終了後の22日に立花陽三球団社長と会談を持ったが、その席でも意思確認は行われなかったが、オーナーのお墨付きを得たことで、新制度成立後は「会談→球団了承→入札申請」までの流れをスムーズにつくれる。大リーグのFA市場の動きが本格化する12月10~13日(米国時間9~12日)のウインターミーティングが、米球団の入札期間となることも予想される。

 「優勝パレードがこんなに楽しいんだと思えた。野球人生の中で、また優勝パレードをしたいという思いが強くなった」。その思いをかなえる舞台は米国となる。

 ≪王以来36年ぶり満票≫満票でMVPを獲得したのは77年王(巨)以来36年ぶり6人目、8度目。パ・リーグでは48年ぶりとなった。投手では54年杉下(中)、59年杉浦(南海)に次いで54年ぶり3人目。今季の田中はベストナイン(投手)も満票で受賞。同一シーズンにMVPとベストナインを満票で手にしたのはパでは65年野村(南海)に次ぎ2人目。投手では田中が初めてだ。

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