JX―ENEOSが2冠!屋宜 天国の祖母に贈る快投

[ 2012年11月14日 06:00 ]

<JX―ENEOS・JR東日本>6回2/3を4安打1失点のJX―ENEOS・屋宜は雄たけびを上げる

スポニチ後援第38回社会人野球日本選手権最終日・決勝 JX―ENEOS5―1JR東日本

(11月13日 京セラドーム)
 7月の都市対抗大会決勝と同じ顔合わせとなった一戦は、JX―ENEOSが5―1でJR東日本を破り、20大会ぶり2度目の優勝を飾った。今秋ドラフトで日本ハムから6位指名された屋宜(やぎ)照悟投手(23)が先発し、6回2/3を4安打1失点の快投。同一年での都市対抗大会との2冠は1988年の東芝(神奈川)以来、史上2度目の快挙となった。来季にリーグ連覇を狙う日本ハムにとって、頼もしい限りの新人右腕が加入する。

 天国の祖母に捧(ささ)げる雄叫び、そして力投だった。チームを都市対抗優勝に続く「2冠」に導いた屋宜は試合後、しんみりと切り出した。

 「おばあちゃんが見てくれていたと思います。ピンチのとき、一呼吸おいて、おばあちゃんのことを考えて投げました」

 日本ハムからドラフト6位指名を受けた2日後。10月27日に、沖縄で祖母の首里ナツさんが79歳で亡くなった。幼少時に菓子やおもちゃを買ってくれた優しい祖母。プロ入りの喜びを直接伝える前の旅立ちだった。

 供養の気持ちを込めて、決勝のマウンドに上がった。「(社会人として)最後の舞台なので、最初からバンバン飛ばしていった。自分の100%の力で、どんどん腕を振った」。最速149キロを計測した直球で押しまくる。投球だけではない。ナインから「ヤギ(屋宜)じゃなくて、ヒツジ」と形容されるほど、おとなしい性格。めったに試合で感情を出さない右腕が、3回に3者三振に仕留めた際には雄叫び。その後も何度もガッツポーズを繰り出した。

 大久保秀昭監督からこの日の先発を告げられたのは前夜。夕食中に「おまえしかいない」と通達された。ドラフト指名後のオープン戦では大乱調で、コーチから「指名されて、いい気になるな」と怒鳴られた。それも「薬」にした。10日の2回戦・ニチダイ(京都)戦で全国大会初登板初先発で勝利投手。中2日でのマウンドで6回2/3を1失点に抑えた。7回、先頭打者を死球で出したときに、マウンドに激励に来た指揮官から「おまえを採用してよかったよ」と最大級の賛辞を送られた。今夏の都市対抗で一度も登板できなかった男が、最後の最後に輝いた。

 ソフトバンクのドラフト1位・東浜(亜大)とは沖縄で幼稚園が一緒。「先輩として、負けたくない」。最高の置き土産をチームに残し、プロという新たなステージでも頂点を目指す。

 ▼JX―ENEOS・宮沢(6回に試合を決定付ける2点本塁打)前の2打席も悪い内容ではなかったので、甘いボールは思い切って振っていこうと思っていました。(優勝の)実感はないんですけど、凄いことをやったんだなって思っています。

 ◆屋宜 照悟(やぎ・しょうご)1989年(平元)3月29日、沖縄県生まれの23歳。中部商では3年夏の沖縄大会決勝で敗れ甲子園出場なし。国士舘大では1年春から東都リーグ戦に登板。主に救援として30試合で2勝5敗、防御率3・16。JX―ENEOSでも1年目から活躍を見せた。最速148キロの直球と多彩な変化球が持ち味。1メートル78、79キロ。右投げ左打ち。

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