東出が激白 14年前の恩忘れない…「出ないのが筋でしょう」

[ 2012年11月14日 09:35 ]

FA権を行使せず残留を決めた広島・東出

 海外FA(フリーエージェント)権を行使せず、チーム残留を決めた広島・東出輝裕内野手(32)が13日、スポニチの単独取材に応じ、悩んだ末に下した結論について思いを激白した。

 鈴木球団本部長が設けた複数回にわたる慰留交渉を、東出は「いろんな話をさせてもらった。いい話し合いができた」と語った。08年に取得したFA権を行使せず、4年契約を結んで今年が最終年。去就が注目される中、悩んだ末にたどり着いたキーワードは「恩」だ。

 「(14年前の)ドラフトを思い返した。いい選手が大勢いたのに、将来を見越して単独で指名してもらった。その球団に“出るな”と言ってもらえるわけだから、出ないのがスジでしょう」

 松坂大輔、藤川球児、上原浩治ら“大物”が顔を揃えた98年。4年ぶりに訪れた節目に、広島から1位指名された記憶を呼び起こした。「やっぱり恩がある」。最後はシンプルに答えを出した。

 不本意な1年だった。6月に右手中指を骨折。8月に復帰したものの、若手起用のチーム方針から、以降は代打が主となった。91試合で打率・247は、主力の座をつかんだ06年以降最低。FA宣言するにはリスクがある。それを承知で一時は移籍の道を考えた。

 「カープは全員が同じ歩幅で、同じ方向へ歩いていくチーム。それが終盤はバラバラに感じる時があった。起用法は自分の責任。試合に出る、出ないじゃない。ボク自身も情けなかった…」

 プレー環境を変える。だが、家族や第三者に意見を求めると、決まって同じ返事が返ってきたという。そこに「恩」を重ね合わせた時、東出が出す答えは一つだった。

 Aクラス争いを演じた終盤、ライバル球団の主力から発せられた「勢いがある時はいいけど、若手に怖さは感じない」との言葉が、32歳のハートに火をつける。「梵、栗原らとともにチームを引っ張らないといけない。ボクらの年代が引っ張り、チーム一丸となって戦いたい」。

 若手への助言を惜しまない選手会長。22年ぶりのV獲りを狙うチームのため、名誉挽回を誓う自身のために力を尽くす。

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2012年11月14日のニュース