意外!?中田 人生初サヨナラ弾 不振から“ぶりぶり”一発

[ 2012年4月16日 06:00 ]

<日・楽>9回、サヨナラ本塁打を放ち、スレッジ(右)と日本ハム・中田は“勝利のタッチ”

パ・リーグ 日本ハム4-3楽天

(4月15日 札幌D)
 誰より日本ハムの中田自身が、打球の行方に気付いていなかった。それほど集中していた。二塁を回る。ベンチからナインが一斉に飛び出してくるのが見える。高校通算87発を誇る大砲が、プロ初どころか野球人生初のサヨナラ弾。ヘルメットを脱ぎ捨て、両手を上げながら歓喜の輪に飛び込んだ。

 「最高です。何にも替えられないぐらいのうれしさ。来た球に食らいついて、塁に出ることしか考えていなかった。打つことに精いっぱい。サヨナラだと思わなかった」

 本来なら回ってこないはずの打席だった。9回に守護神・武田久が同点2ランを被弾。その裏、先頭打者として打席に入った。フルカウントからの6球目。内角の137キロ直球に無我夢中でバットを出した。打球は詰まったが、勢いは衰えない。そのまま左翼席に飛び込んだ。安打が4試合17打席ぶりなら、本塁打は5日のオリックス戦(札幌ドーム)以来9試合38打席ぶり。「ぶりぶり」の一発が劇弾となった。

 「バットは振れていたのに結果が出ない。4番として腹が立って申し訳ない気持ちでいっぱいだった」。今季6安打目。打率はリーグ最下位の・107に低迷する。開幕から24打席連続無安打の際は、他の選手のバットや自身の昨季モデルで打席に立つなど、暗中模索だった。最近は福良ヘッドコーチとバットを振り続けることで、原因をひたすら追究。バットが出やすい位置や構えを、徹底的に振り込むことで体に覚えさせた。重心を低くするフォームのまま、前日から立てていたバットを寝かせ気味に。インパクトまでを最短距離にした。好調だった昨季の映像などもチェック。当時は「何を考えているのか分からないぐらいの表情で、(打席で)リラックスしていた」と気付いた。自然と力みは消えた。

 「超一流への道に進むため」と、栗山監督は中田を不動の4番としてオープン戦からフルイニング出場させている。不振でも外すことは頭にない。その中で飛び出したサヨナラ弾に「意味ある大きなもの。きょうだけはよく打ったねと褒めてあげたい」。そう話して、再び目を潤ませた。

 「最後の最後で1本打っただけ。まだ分からないです」。試合後も必死にバットを振った。22日に23歳となる若き主砲。苦しんだ分、確かな成長の足跡を刻んでいる。

 ≪札幌Dでの2安打はいずれも本塁打≫中田(日)が9回に自身初、今季両リーグ1号となるサヨナラ本塁打を放った。中田はサヨナラ安打も初めて。チームでは09年5月3日西武戦で稲葉が打って以来3年ぶりだ。今季の中田はこの試合まで本拠地札幌ドームでは30打数1安打と不振。唯一の安打が5日オリックス戦の本塁打で、2安打目が自身初の劇弾となった。

 ▼日本ハム・稲葉(3打数無安打で足踏みも中田の劇砲に歓喜)そうくるかって。ウチの4番。相当うれしいし乗っていける勝ち方。ずっと練習をしてきたのが出たね。

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2012年4月16日のニュース