3つの修正も…ダル 2勝目逃す「時間はかかる」

[ 2012年4月16日 06:00 ]

<ツインズ・レンジャース>軸足の位置を三塁側に移しノーワインドアップにしたレンジャーズ・ダルビッシュ

ア・リーグ レンジャーズ6―2ツインズ

(4月14日 ミネアポリス)
 レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)は14日(日本時間15日)、敵地でのツインズ戦に先発し、5回2/3を9安打2失点(自責1)。リードを守れずに降板し、2勝目はならなかったが、チームは3連勝で地区首位をキープした。初回に4失点した初登板(9日)のマリナーズ戦から3つの修正を施し、制球力は向上したが、逆にフォームの躍動感は半減。試行錯誤しながらメジャーでの自分のスタイルを磨き上げていく。

 笑顔はない。それでもデビュー戦と違ったのは、少しすっきりしたダルビッシュの表情だった。

 「回の途中で降りるのは、気持ちいいものではない。ただ9安打されて2点。チームも勝ったので最終的に気分はいい」

 1点リードした6回2死二塁から同点打を許し、なおも死球と四球で満塁とし、2試合連続で5回2/3で降板。しかし「勝負できる状況になかった」前回から改善の跡は見られた。全球種でストライクが取れ、ピンチでも粘った。初登板から中4日。試行錯誤を重ね、3つの修正を施した。

 (1)ワインドアップ→ノーワインドアップ 初動で振りかぶる動きを取り除く分、体の軸がぶれないフォームを選んだ。左足を後ろに引いた際には一度目線を下に向けて、投げ急がないよう工夫も凝らした。

 (2)プレートの軸足の位置を一塁側→三塁側 右打者の外角と、左打者の内角に角度のついた球を投げるために戻した。捕手ナポリも「(左打者の)内角をうまく攻められた」と評価した。6人並んだ左に対し、三塁側を踏むことでバックドア(外角のボールからストライクゾーンに入る変化球)も効果的に使えた。

 (3)フォーシームの増加 割合は前回の16%から21%に。前回はツーシーム主体で、左打者の内角を狙った球がことごとく真ん中に入り痛打されたため、カウント球にはきれいな回転のフォーシームを選択した。

 わずか1試合でキャンプから続けた「形」を変更することは、どの投手でも勇気がいるものだ。しかし器用なダルビッシュは考え方が違う。「基本的にノーワインドアップとワインドアップは変わらない。簡単に言うと、いろんな色があるペンがあるでしょう。1個の色、赤が出なかったら黒に変える。それを(ボタン一つで)変えるのと同じくらい簡単なこと」。見た目は違っても、投球のベースとなる部分は変わっていないという。

 しかし、勝てなかったのも事実。フォームの力感は影を潜め、「走者を背負って力を入れた時に、少し制球が思うようにいかなかった」と5四死球を与え、6回途中で100球に到達した。それは本人が一番自覚している。「時間はかかる。いきなり日本と同じ防御率1点(台)とか出したら天才でしょう」。ダルビッシュは試しながら、自分の形を見つけていく。

 ▼レ軍ロン・ワシントン監督 成長の兆しが見えた。いい投球だったし確実にいい方向へ進んでいる。味方の守備のミスがなければ6回無失点だったかもしれない。課題はもっと早いカウントから勝負することだ。

 ≪2試合以上連続の途中降板は過去に2度≫日本ハム時代のダルビッシュは09年以降はイニング途中の降板が一度もなかった。最後は08年5月7日西武戦で、2試合以上連続となると、05年8~9月、06年4月(ともに3試合連続)の2度。また、レギュラーシーズンでの中4日先発は、昨年9月11日楽天戦の1度だけ。この時は7回無失点も勝敗はつかなかった。

続きを表示

この記事のフォト

2012年4月16日のニュース