坂本連夜の殊勲!9回決勝弾でG1年ぶりナゴヤ勝ち越し

[ 2011年5月8日 06:00 ]

<中・巨>9回無死、坂本は左越え本塁打を放ち、ラミレス(右)と喜びのポーズ

セ・リーグ 巨人2-1中日

(5月7日 ナゴヤD)
 巨人が坂本勇人内野手(22)の活躍でナゴヤドームで1年ぶりの勝ち越しを決めた。1―1同点で迎えた9回、坂本は中日・ネルソン投手(29)から左越えに決勝弾。前日6日の中日戦でも決勝打を放っており、坂本は2夜連続の殊勲となった。チームはこれで勝率5割に復帰、3位に浮上した。

 9回、初球。どちらもこの男にとっては危険なキーワードだ。坂本の一発は150キロの高めに浮いた初球の直球だった。

 「初球から甘い球が来たらいこうと。思い切ってスイングしたら芯に当たってくれた」

 乾いた衝撃音を残した打球はライナーで左翼フェンスを越えた。同点の9回に飛び出した決勝の左越え4号ソロ。「低い弾道だったのでちょっと(入るか)分からなかった。思い切ったいいスイングができてよかったと思う」。笑顔で本塁を踏んだ坂本の横で中日・谷繁がうなだれていた。

 この思い切りの良さこそが坂本の真骨頂だ。今季、初球を打てば打率・529で6打点。全13打点のほぼ半分だ。4本塁打は初回、9回にそれぞれ2本ずつ。チャンスメークが基本の1番打者だが、狙っていい場面ではひと振りで決められる強打者に変身する。3回には2死二塁から同点左前打。得点圏打率はリーグトップの・615と驚異的な数字を残している。

 1番であり、中軸の働きもこなす。それを可能にするのが2つのスイングだ。宮崎キャンプでのロングティー。当初は「飛ばねえ」とこぼしていた坂本が「でもヘッド利かせると飛びますよ」と、ややヘッドが遠回りするドアスイング気味の軌道でスイングすると、途端に柵越えを連発した。3回の適時打はコンタクト重視のスイングでスライダーを拾ったもの。そして9回は、強い打球を生み出すために遠心力とバットのしなりを最大限に生かした豪快なスイングで試合を決めた。

 昨季9連敗した鬼門のナゴヤドームで連勝。チームは勝率5割、3位に浮上した。前夜の決勝2点中前打に続く2夜連続決勝打を放った坂本に、原監督は「坂本の2打点は価値ある打点。一歩、成長したと思う」。勝利の立役者となった危険な男に最敬礼した。

 ≪ラミレスに次ぐ13打点≫坂本(巨)が同点適時打と決勝ソロの2安打2打点。1試合2本の殊勲安打は09年5月2日阪神戦で逆転3ランと勝ち越しソロを放ったのに次いで自身2度目だ。本塁打は初球を運んだが、今季初球打ちは17打数9安打(・529)、2球目を打ったケースも17打数8安打(・471)と積極打法で打率を上げている。打点も13でセの1番打者では梵(広)、石川(横)の7打点を大きく上回り最多。チームではラミレスの17打点に次いで多く、クリーンアップ並みの破壊力を見せている。

 ▽巨人・坂本の昨季ナゴヤドーム成績 12試合で48打数6安打2本塁打3打点。打率もセ・リーグ主要球場の中では最低の・125。ワースト2位の神宮(・225)を大きく下回る低打率だった。

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