今季は安定感抜群 日本ハム守護神 無失点で早くも9セーブ目

[ 2011年5月8日 10:41 ]

<日・ソ>9回を抑えた武田久

パ・リーグ  日本ハム3-2ソフトバンク

(5月7日 札幌D)
 守護神復権だ。日本ハムの武田久投手(32)が7日、ソフトバンク戦で1点リードの9回に登板。最後の打者・松田宣浩内野手(27)を空振り三振に仕留めるなど、1回1安打無失点で今季9セーブ目を挙げた。昨季は不振から中継ぎへの配置転換、2軍降格も経験したが、今季は9度のセーブ機会全てに成功し、登板11試合でいまだ無失点。守護神の完全復活でチームは再び単独首位に立った。

 ほえた。そして、武田久はアッパーカットのように右拳を突き上げた。9回2死一塁。打席には、前日に決勝弾を放っている松田。2ボール2ストライクから、外角低めに投じたスライダーに、バットが空を斬った。

 「(こん身のガッツポーズは)ホッとしたという感じだった。三振は狙っていなかったですけど…。たまたまですね。調子は普通。1点差だったので、大きいのを打たれないよう、走者はためたくなかった」。鮮やかな火消しでチームを再び単独首位に押し上げた。

 昨季は極度の不振に陥った。09年に55試合に登板して無敗で34セーブを記録した不動の守護神は開幕2戦目にまさかの敗戦投手となり、いきなりつまずいた。その後も立ち直りの兆しが見えず、中継ぎに降格。6月上旬には右内転筋痛で2軍落ちも経験した。結果、初セーブは6月18日のオリックス戦(京セラドーム)。変化球に頼り、相手をかわす投球になっていたのが不振の要因の一つだった。その反省から、今春の沖縄・名護キャンプでは「シンプルに真っすぐで勝負したい」と投手の原点ともいえる直球を磨くことに専念した。この日の最後の打者・松田に対しても、1ボールから強気に3球連続で直球を投じて追い込み、最後はスライダーで料理。直球に切れがあるからこそ、ウイニングショットの変化球が生きる。

 後輩の活躍も刺激となっている。開幕前に食事を共にした日本通運の後輩の西武ドラフト2位・牧田が、前日に完封でプロ初勝利を挙げた。武田久は「あれはいい投手。どんどん勝てる」とその潜在能力を認め、ルーキーに電話で「おめでとう」と祝福した。ここで自分がここで打たれるわけにはいかない。先輩の意地も力の源となった。

 開幕から1カ月足らずで9セーブ。登板11試合で無失点を続けており、防御率は0・00。「チームが乗っている。自分も1試合、1試合抑えるだけ」。V奪回のキーマンが完全復活に向けて歩を進めている。

続きを表示

2011年5月8日のニュース