999安打!松井秀、止まらんマルチで大台王手

[ 2010年4月26日 06:00 ]

2回、右前打を放つ松井

 【エンゼルス1-7ヤンキース】エンゼルスの松井秀喜外野手(35)は24日(日本時間25日)のヤンキース戦で2安打したものの試合には敗れた。1三振も喫してメジャー通算1000安打、同500三振にダブル王手となった。チーム唯一のマルチ安打と気を吐いた4番は試合後、グラブ作りを託すミズノ社の岸本耕作グラブマイスター(52)と会談し、追加グラブを緊急発注。今後は守備に就く回数を増やし、エ軍に不可欠な主砲としてフル回転する覚悟だ。

 チームは敗れても松井のバットは止まらない。前回13日の対戦で3打数無安打に封じられたペティットに強烈なお返しは2回、右前へはじき返した。9回はマルテから中前へ。いずれも得点につながらず1―7と完敗も、自身は左腕からの2安打で打率・310とした。
 「ペティットは前回の方が良かった感じはしますね。(自分の)慣れは、若干はあったと思う。序盤苦しんでいたけど、そこで崩せなかった」
 これでメジャー通算999安打。大台に王手をかけた。もっとも6回に三振を喫して、こちらも通算499三振となった。8年目で積み重ねてきた数字が、安打2本に1三振の割合とちょうど半分のペース。どちらも節目に王手をかけた。
 試合後は現地を訪れたミズノのグラブ職人、岸本名人と打ち合わせ。「形は変えずに新しいグラブをもう1つ用意してほしい、とのことでした。消耗し、革が全体的に軟らかくなってしまっていた」と同名人。エ軍に移籍してから2年ぶりの公式戦守備に2試合就くなど左ひざが良好なことから、練習も含めると例年以上にグラブを酷使している。ヤ軍時代は守備に就きながら、実戦用グラブは年間1個で通したことが多かった。この時期の緊急発注は状態が上向きなことと同時に、シーズンを通じて守り続ける決意の表れだ。今季キャンプ地のタンパ→ニューヨークと多湿地域だったヤ軍時代から一転、同アリゾナ→ロサンゼルスと乾燥地域に移った。革に乾燥は大敵。チームカラーに合わせ赤茶色にするため、革の材質が変わったことも一因となって新グラブの発注となった。
 ここまで全19試合に先発出場しているのはモラレスと2人だけ。不動の4番に座り続け、勝利に導くためにも「守備」は欠かせない。乾ききった西海岸の空気以上に、松井は守備、そして毎日試合に出続けることに乾き飢えている。赤ゴジラにとってどちらの大台も通過点でしかない。

 <伊集院静氏「思ったより似合うね」>松井は試合後に親交の深い作家の伊集院静氏からも激励を受けた。仕事でロサンゼルスを訪れた同氏がヤ軍戦を観戦。「イチローが思ったよりは赤が似合ってたね。不動の4番、巨人時代からそこが似合う」とチーム内での重要性と、そこから来る気力の充実を感じ取った様子。渡米前には還暦の祝いにチームカラーと同じ赤いハンカチを贈られたそうで「給料が少なくなると、プレゼントも少ないな、と話したんだけどね」と冗談めかしながらも、新天地での活躍を喜んでいた。

 <「ミスター超え」視野に>メジャー通算999安打となった松井だが、日米通算では2389安打。これは日本球界歴代11位に相当する。10位は土井正博(西武)の2459安打。9位の長嶋茂雄(巨人)の2471安打にも82本差に迫っている。松井は日米通算打点も節目の1500にあと3の1497で、こちらは日本歴代9位。8位は大杉勝男(ヤクルト)の1507、7位は長嶋の1522で、2つの数字で今季中の「ミスター超え」が視野に入っている。

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2010年4月26日のニュース