福留 メジャーデビューいきなり劇弾!

[ 2008年4月2日 06:00 ]

<カブス・ブルワーズ>7回1死 福留は中前打を放つ

 4グラムの違いが分かる男が衝撃デビュー!カブスの福留孝介外野手(30)が31日(日本時間4月1日)、シカゴでのブルワーズとの開幕戦に5番・右翼で出場。9回に日本人3人目のデビュー戦本塁打となる同点3ランを放つなど3打数3安打。チームは敗れたものの、地元シカゴのファンに4年総額4800万ドル(約48億円)の大型契約にふさわしい選手であることを強烈にアピールした。

 総立ちのスタンドが一斉に「フクドーメ」と連呼する。3点を追う9回無死一、二塁。ここまでの3打席で地元ファンの心をわしづかみにしていたルーキーは、さらに大きな熱狂を呼んだ。
 「点差が点差だし、つなげようと思って引っ張れる球だけ待っていたらそれがたまたま…」
 84連続セーブ機会成功の大リーグ記録を持つブ軍の守護神ガニエがカウント1―3から投じたやや外寄りの148キロ。完ぺきにとらえた打球は右中間最深部、名物ツタのフェンスを越えた。起死回生。同点3ランだ。
 決して「たまたま」なんかじゃない。よみがえった重量感…。手応えは十分あった。「何も特別なことはしてないし、できない」という言葉とは裏腹に前日整髪したばかりか、とっておきの“宝刀”を用意していた。日本からシカゴに直送してもらったバットである。
 オープン戦を過ごしたアリゾナでは苦しんだ。乾燥した空気で水分が抜け、920グラムのアオダモのバットが物によっては900グラムを切るまでになった。強度を失い、日本ではほとんど折ったことのないバットを9本も折った。しかし、メジャーで主流のメープルやホワイトアッシュは「打感が違う」と拒否。しなりがあるアオダモにこだわり、契約メーカーにシカゴへの直送を頼んでいた。
 この日球場入りして封を切り、1本量ってみると918グラム。中沢トレーナーがもう1本をはかりにかけて「これは何グラムと思う?」と手渡すと「922グラム」。何とドンピシャ。4グラムの違いが分かったのだ。研ぎ澄まされた集中力と、あるべき重さの愛用バット。雨で午後1時20分予定の試合開始が41分遅れ、途中49分間の中断があっても集中力は途切れなかった。
 2回の初打席でシーツの初球を中越え二塁打すると、4回はオープン戦最多タイ15四球の選球眼で四球。7回には外角球を中前にはじき返した。そして04年松井稼、06年城島に続く日本人3人目のデビュー戦アーチ。総立ちのカーテンコールに帽子を取って応えた。3打数3安打のスーパー発進にもチームの敗戦がほおの緩みを許さない。
 「僕にとっては正直いい1日だったなとも思うけど、やっぱりチームが勝たないと意味がない」
 今季の目標はチームの世界一。100年ぶりのワールドチャンピオンへ貢献することである。

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2008年4月2日のニュース