苦手上原からノリ豪快決勝弾

[ 2008年4月2日 06:00 ]

<巨人・中日>9回、左越えソロを放つ中日・中村紀

 【中日4―3巨人】高々と舞い上がる打球を最後まで目で追う必要はなかった。スタンドインを確信した中日・中村紀の体は自然と大きなガッツポーズを作っていた。

 「打った瞬間に分かった。その前の打席までやられていたんで、開き直って初球から狙っていました。上原くんから初めて打てた。本当に完ぺきだった」
 3-3の9回に飛び出した豪快な決勝2号ソロは左翼席中段に突き刺さった。ヒーローは試合後も興奮冷めやらぬ口調で、まくし立てた。昨季6打数無安打、4三振と完ぺきに抑え込まれた上原に、この日も3打席目までは三ゴロと2三振。勝負の4打席目。真ん中高めの甘い直球を迷いなくフルスイングした。
 テスト生から始まった昨季、最後は日本シリーズMVPにまで上り詰めた。中日2年目のキャンプでは「自分に足りないものは何かと考えながら取り組んできた」。タイミングを早めに取り、ボールを呼び込んで打つことを意識してきた。3月30日の広島戦で今季1号を放ち「バットの先っぽだったのにあれだけ飛んだ」と自信を深めた。
 前日3月31日に発表された星野ジャパン1次候補選手の中に名前はなかった。目標だった3大会連続五輪出場は遠のいたが「意識ない。(代表)枠に入っているわけじゃないし」。星野監督の目の前で、ジャパンのエースから放った一撃にはノリの意地が詰まっていた。

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2008年4月2日のニュース