日本選手団主将・山県、副将・佳純が選手宣誓「スポーツを通じ世界をより良い場所に」

[ 2021年7月24日 05:30 ]

東京五輪 開会式 ( 2021年7月23日    国立競技場 )

開会式で選手宣誓する主将の山県(中央左)と副主将の石川(同右)
Photo By 共同

 あいうえお順の入場行進が終わり、国立競技場が静寂に包まれた。日本選手団主将の陸上男子短距離・山県亮太(29=セイコー)が左手で五輪旗をつかむ。副主将の卓球女子・石川佳純(28=全農)は右手で同じ旗を持った。男女平等の精神を表すように、2人で声をそろえて、夜空に宣誓を響かせた。

 「調和と平等、フェアプレーの精神にのっとり、競技規則を尊重し、これを守り、ともに連帯して、スポーツがドーピング、不正行為や、あらゆる差別のないものとなることを目指します」

 主将の山県は広島市出身。戦争の悲しみが刻まれた街で小中高を過ごしただけでなく、被爆3世として歩んだ。45年8月6日、爆心地に近い地域に住んでいた曽祖父は、この世から姿を消した。祖父は疎開先から戻った際に入市被爆をした。被爆2世の父・浩一さん(61)は、かつて山県家があった場所から先祖の遺品が見つかったことで、命のつながりをより感じるようになった。戦争に翻弄(ほんろう)されながら受け継がれた生命をたぎらせ、今回、3度目の五輪に立つ。

 16年リオデジャネイロ五輪では男子400メートルリレーで銀メダルを獲得。今年6月には男子100メートルの日本新9秒95をマークした。慶大時代は陸上部主将。クリーンなイメージと、度重なる故障を克服した姿勢が評価され、この自国開催の五輪で大役を任された。

 当初は、「悩むところはあった」という。周囲を見渡せば、個人で世界と勝負をする日本人は多数いた。果たして、自分がふさわしいのか。自問自答を繰り返した末に、話を受ける決意をした。

 目指すは、男子100メートルの89年ぶり決勝進出。この日宣言したスポーツマンシップを体現すると同時に、人の心を熱くさせる、スポーツの力も発信する。

 【宣誓全文】
 (選手代表・陸上男子山県亮太、卓球女子石川佳純)私たちは全ての選手の名において

 (審判代表・サーフィン加藤将門さん、水球津崎明日美さん)私たちは全ての審判員の名において

 (指導者代表・柔道男子井上康生監督、ソフトボール宇津木麗華監督)私たちは全てのコーチおよび、役員の名において

 (山県・石川)調和と平等、フェアプレーの精神にのっとり、競技規則を尊重し、これを守り、ともに連帯して、スポーツがドーピング、不正行為やあらゆる差別のないものとなることを目指します。私たちはチームの名誉のためにオリンピズムの基本原則にのっとり、スポーツを通じて世界をより良い場所にするために、このオリンピック競技大会に参加することを誓います。

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