【競泳】男子400個人メドレー 瀬戸、4分7秒台出せば金チャンス大―林享の目

[ 2021年7月24日 05:30 ]

調整する瀬戸
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 大会第2日の24日から本格的に競技がスタートする。メダルラッシュが期待される競泳の初日は男子400メートル個人メドレー予選に19年世界選手権覇者の瀬戸大也(27=TEAM DAIYA)が登場する。16年リオデジャネイロ五輪で銅メダルだった日本のエースは初の金メダル獲得なるか。レースの見どころを92年バルセロナ五輪男子100メートル平泳ぎ4位の林享氏(46)が語る。

 男子400メートル個人メドレーは瀬戸とリオ五輪銀メダルのチェース・ケイリシュ(27=米国)による2強対決が予想される。今季の世界ランキングでは4月の日本選手権を4分9秒02で泳いだ瀬戸が1位、6月の米国代表選考会で4分9秒09を出したケイリシュが2位。その差はわずか0秒07だ。

 2人の強みは大きく異なる。瀬戸は最初のバタフライを得意とする前半型、ケイリシュは3つ目の平泳ぎが速い後半型だ。今季のベストタイムでレース展開をシミュレートすると、最初の100メートルで瀬戸が1秒45先行する。次の背泳ぎで2秒02までリードを広げ、体2つ分の差をつける。そして200~300メートルではケイリシュが猛烈に追い上げて、逆に0秒09リード。最後の自由形の力はほぼ互角で、タッチまで競り合う形だ。

 瀬戸としては200メートルまでで、できるだけ多くの貯金をつくって、平泳ぎで詰められる差を少しでも減らしたい。好調時の瀬戸なら、200メートルまでで1秒以上は上げられる。平泳ぎは元々得意な種目で、1分10秒36のラップタイムは決して遅くはないが、1分9秒台を出す力もある。

 私は瀬戸の金メダルの可能性が高いと考えている。4月の代表選考会は十分な練習を積んで臨めたわけではない。だが、そこから3カ月以上、長野県東御市の準高地プールなどで集中して練習ができているという。逆にケイリシュは6月の選考会からの時間が短く、上積みはあまり期待できないように思う。4分7秒台を出せば金メダルのチャンスが高くなるとみている。4分6秒09の自己ベストを持っている瀬戸なら決して難しいタイムではない。また、近年の成績を見ても、安定して結果を残している瀬戸に対し、ケイリシュは19年世界選手権で予選落ちするなど好不調の波が大きい。

 瀬戸にとっては幸運な要素もある。昨年の新型コロナウイルスの感染拡大以降、200メートルまでの短い距離の種目では全体的な記録のレベルが従来と同じか向上しているが、400メートル以上の種目は上がっていないのだ。コロナによって十分な泳ぎ込みができていない影響が出ているように思う。男子400メートル個人メドレーの場合も全体のレベルは上がっていない。もちろん3番手以下の選手が記録を大きく伸ばしてくる可能性はある。それでも瀬戸が本来の力を発揮すれば、競泳日本の金メダル1号となるだろう。まずは24日の予選を落ち着いて突破し、いい形で25日の決勝につなげてもらいたい。(東海学園大監督)

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