【こだわりの一品】特等床山・床蜂 横綱から横綱へ“専用揃い櫛”

[ 2015年11月18日 08:25 ]

大切な櫛で髪を結われる白鵬

 白鵬を担当する特等床山・床蜂(61)が使用する「揃い櫛(そろいぐし=最後にまげを整える櫛」は第60代横綱・双羽黒(北尾光司氏)から贈られたものだ。双羽黒が横綱昇進した29年前に巡業でまげを担当。その際に「若い衆のまげを結うと櫛に砂がつく。俺を結うときにはこれを使って」と突然渡された。通常より櫛の歯がきめ細やかな高級品だった。

 だが、双羽黒は翌年暮れに師匠とのトラブルにより破門同然で廃業。優勝0回のまま現役を終えた唯一の横綱となってしまった。床蜂は「記念に取っておこうと思ってね」と、その櫛を油漬けにした上で新聞紙にくるんで大事に保管していた。

 心境が変化したのは今年初場所。ふと「同じ横綱だから使ってもいいか」と思い、双羽黒の櫛を取り出して白鵬のまげを整え始めた。「もしやめていなかったら10回は優勝してただろうな。双羽黒も横綱(白鵬)に使ってくれたらうれしいだろ。本人は忘れてると思うけど」。同じ横綱でも35回と0回だが、まげを結う仕事は何ら変わらない。

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