【岡崎真の目】羽生“円熟”がゆえの力み出たか 逆転射程内

[ 2015年11月1日 09:00 ]

 羽生のミスはある意味で最悪の種類だった。4回転トーループが2回転となったが、昨季のルール変更で、ステップなどから入るジャンプは3回転以上のものでなければ得点にならなくなった。さらに3―3回転の連続ジャンプは、後半のものが2回転トーループになってしまった。これが同じジャンプの繰り返しとなってしまい、採点からはじかれた。SPのジャンプは3度しかないが、そのうち2度が無得点では出遅れも仕方がないだろう。

 ただし、2季目を迎えたSPのプログラムそのものは高く評価したい。2季目は「慣れ」が出てくることで隙やアラが目立つケースもあるが、羽生の場合は間の取り方が磨かれ、メリハリも利いており「円熟」を感じさせるものだった。冒頭のトリプルアクセルの出来も素晴らしかっただけに、あくまで想像だが「いける」という感触が力みにつながり、その後のミスが生まれたのかもしれない。

 5項目の演技点は全体トップで、復帰したチャンに劣ったのも1項目だけ。首位の村上との得点差も7点余りで、フリーでの逆転は射程内だろう。SPで魅せた「円熟」がフリーにどう表れるか、注目してみたい。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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2015年11月1日のニュース