【立花泰則の目】内村とっさの決断力&判断力 演技の流れ止めず

[ 2015年11月1日 09:00 ]

 内村選手は自分自身と向き合って、凄い集中力を発揮した試合だった。スタート種目の床運動で全体トップの得点、あん馬、跳馬、平行棒では出来栄えを示すEスコア(実施点)がトップ。ライバルは必死で技の難度を示すDスコア(演技価値点)を上げているが、Eスコアが伴わない。自分自身が描く理想に向けて演技を一つ一つ、紡いでいった印象だ。

 鉄棒では離れ技のコールマンをキャッチする際に、バーと体がかなり近づいてしまった。驚いたのはそこからの対応だ。乱れたまま車輪に行くと減点されるが、内村選手は別のつなぎ技を選択し、演技の流れを止めなかった。とっさの決断力、判断力が素晴らしかった。理想を追い求め、来年のリオデジャネイロ五輪では一つの完成形を見せてくれると思う。

 初出場の萱選手も大健闘だった。団体総合の予選、決勝、個人総合と日に日にたくましさが増した彼自身、実体験として世界を知ったことが来年のリオ代表選考会などの試合につながっただろうし、同世代に大きな刺激を与えたと思う。(ロンドン五輪男子日本代表監督)

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2015年11月1日のニュース