エディー監督の期待に応えられなかった?外国出身者多数のラグビー代表

[ 2015年9月6日 11:30 ]

W杯での健闘を誓う日本代表フィフティーン

 1つの質問に対する答えの中で、4回は繰り返しただろうか。

 「国際レベルの選手を育てるのは代表コーチの仕事じゃない」

 8月31日。ラグビーW杯日本代表メンバーの発表会見で、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチが強調した。正確に言えば、発表会見の直前に開かれた記者ブリーフィングでの出来事。代表31人に外国出身選手(日本国籍取得選手も含む)が10人もいるという、最後の質問に対してだった。

 「それは自分のコントロール外。国際レベルの選手が育つ環境をつくるのは私じゃない。代表選手31人とバックアップメンバー11人。42人しか、国際レベルで戦える選手がいないんです。そこから(W杯代表を)選ばないといけない。そういう質問は誰に対してするべきか分かっていますか?私は知っています。あとで教えてあげますよ」

 ラグビーではその国の国籍を持たなくとも、自身や両親、祖父母の出身国であるか、3年続けて居住していれば代表選手になれる。そして、W杯のたびに起きる(普段は注目されないからだが)のが「日本代表なのに外国出身者が多すぎるのでは?」という批判だ。日本で長い指導歴を持ち、日本人選手のことを知り尽くしているエディーだけに、選べるものなら日本人を数多く選びたいだろう。だが、外国籍選手と海外出身の日本国籍取得者ばかりのFW第3列を例に挙げるなら、サイズだけでなく試合中の“仕事量”が日本人選手と明らかに違う。W杯での勝利が求められる指揮官としては当然の選択だ。

 エディーは質問への回答をこう締めくくった。「清宮サンがジャパンのヘッドコーチをやって、選手が全員日本人なのが理想的なんでしょう?でも、それを実現させるにはかなりの努力がいる。経験値が伴わないと、世界レベルのコーチングはできない」。自身を“口撃”してくるヤマハ発動機・清宮克幸監督への皮肉も込められていたが、W杯を最後に退任する世界的名将からの、日本ラグビーへの“警鐘”と受け取るべきだろう。エディーもサントリーのGM時代から旧態依然とした大学ラグビーの改革の必要性などを訴えてきた。だが、日本の強化につながる改革は行われず、スーパーラグビーに挑戦する選手こそ増えているものの、現時点でテストマッチで戦える日本人の選手層は十分ではない。

 1996年。日本代表臨時コーチに就任したエディーらと記者数人で飲みに行った。現在の代表には選ばれるべき選手が選ばれていないと訴えると、エディーは記者が考えるメンバーを教えてくれと言ってきた。自分が知らない、どんな選手がまだ国内にいるのか楽しみだったに違いない。あれから20年。日本ラグビーは、エディーの期待に応えられなかったのだろうか。(中出 健太郎)

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2015年9月6日のニュース