美姫 奇跡ソチ切符へ闘志「ベスト尽くす」

[ 2013年12月21日 05:30 ]

前日の練習にのぞむ安藤美姫

 奇跡の夢切符獲りに挑む。フィギュアスケートのソチ五輪代表選考会を兼ねた全日本選手権は21日、さいたまスーパーアリーナで開幕。22日の女子ショートプログラム(SP)に向け、4月に女児を出産した安藤美姫(26=新横浜プリンスク)らが会場で非公式練習に参加した。16日に背中を痛めたが、3―3回転の連続ジャンプを決めるなど調子は上々。最低でも表彰台が必要な大一番へ闘志を高めた。高橋大輔(27=関大大学院)らは21日の男子SPを見据えて調整した。

 時間の経過とともに切れが増した。練習前半はジャンプで回転が抜けるシーンが目立った安藤だが、上着を脱ぎ捨てタンクトップ姿になった後半は3―3回転のコンビネーションに成功。16日の練習で背中を痛め、「スケーティングしかできない状態だった」と明かしたが、ジャンプに影響は見られない。あす22日の女子SPへ、「今できる限りの調整はした。自分の力を100%出せればいい」と静かに気合を入れた。

 4月に女児を出産していたことを衝撃告白。出産から練習を再開後、ジャンプを中心にトレーニングを重ねてきた。試合ではトーループの連続3回転だが、この日の練習では、さらに難度の高い3回転サルコー―3回転ループも決めた。「夏ごろは3―3回転を入れられたらいいなと思っていた。練習すると凄く大変だった。難しいなと正直思った」と振り返るが、得点源のジャンプが何とか大一番に間に合った。

 五輪切符獲得には、高いハードルがある。「(連盟から)優勝しか道はないって言われている。厳しいかなと思う」。表彰台を逃しても選考対象になる、世界ランクの日本人上位3人、今季の国際大会ベストスコア日本人上位3人に安藤は入っていないため、今大会3位以内は絶対条件。その上でライバルを圧倒する演技が必要になる。「日本のトップ選手とはレベル的に対等に戦えないと正直、思っている」と冷静に分析し、「五輪はまだまだ遠い。ベストを尽くして、その結果がどうなるか」と話した。

 練習後の取材では愛娘に対する質問も出たが、「全日本選手権の場で言えるコメントではない。会場では母ではなくて選手なんで、何とも言えない」と言葉を濁した。復帰後の安藤は国内大会よりも海外で高得点をマークしている。“外弁慶”を克服した時、奇跡の道がわずかに開ける。

 ▽ソチ五輪への道 男女ともに日本の枠は3。全日本選手権の優勝者は代表決定。2人目はGPファイナル日本人最上位メダリスト(男子=羽生、女子=浅田)と全日本の2、3位選手の中から選考。2人目の選考から漏れた選手と、世界ランク日本人上位3人(男子=羽生、高橋、町田、女子=浅田、鈴木、村上)、国際大会のベストスコア日本人上位3人(男子=羽生、高橋、町田、女子=浅田、鈴木、宮原)の中から3人目の代表を選考する。

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2013年12月21日のニュース