桐生 高校生初 短距離個人種目で世界陸上へ

[ 2013年6月8日 06:00 ]

男子100m予選、10秒28で予選通過した桐生祥秀(中)

陸上日本選手権第1日

(6月7日 味の素スタジアム)
 ワンダーボーイが世界切符をほぼ手中に収めた。8月の世界選手権(モスクワ)代表選考会を兼ねて開幕し、男子100メートルで10秒01の記録を持つ桐生祥秀(17=京都・洛南高)は、予選2組でトップの10秒28。全体2番目で8日の決勝に進出した。

 桐生は日本陸連が定める派遣設定記録をクリアしており、決勝を走りきれば短距離個人種目では初めて高校生代表が誕生する。女子1万メートルは新谷仁美(25=ユニバーサルエンターテインメント)が31分6秒67の大会新記録で制し、代表に決まった。

 先週末の京都府高校対抗選手権で100、200、400メートルリレーで計9レースに出場。忍び寄る疲労は、若さと今大会への闘志でカバーした。焼き鳥を食べ、風呂にゆっくり入って肉体にパワーを注入。初出場となる日本選手権に向け、モチベーションも高まっていた。「生半可な気持ちで挑んだら負ける。日本で一番大きい大会だし、そんなに甘くない」。高校の試合以降は休養優先で練習していなかったが、あふれるポテンシャルを見せつけた。

 4月の織田記念国際でマークした10秒01は、日本陸連が定めた世界選手権の派遣設定記録をクリア。代表入りへの条件は、決勝での完走だけ。「(決勝は)思い切ってスタートしたい。フライングとか気にせず、自分の体を信じて、いい加速に乗ればいい」。フライングでの失格や欠場がなければ、短距離個人種目で初めて高校生が日の丸を背負う。

 代表になれば憧れの世界記録保持者・ボルトと夢対決の可能性も広がるが、今大会決勝では日本人スプリンターで憧れている山県と激突する。織田記念では0・01秒差で競り勝った。「チャレンジャーとして、どれだけ挑めるか。思い切り走って、山県さんと勝負したい」。無欲のワンダーボーイが、一気に日本の頂へ駆け上がる。

続きを表示

2013年6月8日のニュース