コンテナハウスで磨かれた才能…父の指導の領域超える

[ 2011年10月15日 06:00 ]

体操世界選手権第8日

(10月14日 東京体育館)
 内村の父・和久さん(51)は観客席で息子の3連覇を見届けた。「プレッシャーは相当あったと思う。わが子ながら褒めてあげたい。凄いねえ」。中学卒業まで指導した息子を照れくさそうに称えた。

 元体操選手の和久さんは内村が3歳の時、長崎県諫早市に船舶運搬用のコンテナ4つを並べた自宅兼体育館を造り、体操教室を開業した。「よくカラオケボックスに間違えられました。湿気がこもって、キノコが生えてきましたね」と笑って振り返る。住環境としては恵まれた場所ではないが、内村にとっては最高の遊び場であり、最高の練習場だった。

 限られた器具の中に、直径1メートルほどの円形のトランポリンがあった。内村は毎日跳びはねて遊んだ。抜群の空中感覚は幼い頃に体で覚えた。夜になるとベッドの上で約20センチのピンクパンサーのぬいぐるみを曲げたり、回したり、ひねったりした。時には鉛筆や消しゴムを代用した。和久さんは「自分でその中に入って技をイメージしていたんでしょうね。僕には理解できませんよ」という。実家には内村が技の動きを連続写真のように描写したノートも残っている。父の指導の領域を超えて、技の動きを頭の中で整理し、再現する能力を身につけていった。世界王者の才能はコンテナハウスの中で磨かれた。

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2011年10月15日のニュース