歴史変えた!内村、国際大会世界最高で史上初3連覇

[ 2011年10月15日 06:00 ]

1位の表彰台へむかう内村は渾身のガッツポーズ

体操世界選手権第8日

(10月14日 東京体育館)
 完全無欠のエースが歴史を変えた。男子個人総合決勝で内村航平(22=コナミ)が合計93・631点をマークし、金メダルを獲得。国際大会の世界最高スコアで、前人未到の3連覇を達成した。最も美しい演技をした選手に贈られる「ロンジン・エレガンス賞」も受賞。山室光史(22=コナミ)も合計90・255点で銅メダルを獲得した。

 王者は誰か。6種目全てで沸き上がった大歓声が、その答えだった。ルール改正の09年以降、国際大会では世界最高の93・631点。2位との3・101点差は史上最大。前人未到の3連覇を達成した内村は「結果や点数を気にせず、丁寧にやっていこうという気持ちが結果につながった」と満足感に浸った。

 銀メダルに終わった12日の団体総合。宿舎に戻ると、極度の絶望状態に自らを追い込んだ。「個人総合ができるか分からない精神状態まで自分で落とし込み、そこから一気に気持ちを上げた」。つり癖のある両ふくらはぎの不安。出場全選手の中で唯一、団体総合で12種目をこなしていた疲労。それでも、内村は美しく、強かった。

 得意とする出だしの床運動、あん馬、つり輪、平行棒で1位、鉄棒は団体総合決勝で落ちたコバチを決めて2位、跳馬も難度の低い跳躍に変更しながら3位。10点満点の「Eスコア(実施点)」は倒立などが少し乱れただけで厳しく採点する傾向にあったが、つり輪を除く5種目が9点台のハイスコア。07年の冨田洋之、昨年の田中理恵に続く日本勢3人目の「ロンジン・エレガンス賞」の受賞も当然だった。

 正確無比に射止めた3連覇だ。ほぼ完璧だった着地には、内村だけが知り得る極意がある。「みんなは止めにいっている。僕は止まるところで技を終わらせる感じ。理解している人はあまりいないと思う」。1つ1つの技を丹念に磨いた結果、着地前に他の選手よりも長く床を見つめる余裕が生まれた。「止める」から「止まる」へ。内村にしかできない発想の転換が、偉業を可能にした。

 世界最強を証明し、来年のロンドン五輪でも金メダルの大本命。だが、体操ニッポンのエースには、果たすべき使命が残っている。15日からの種目別は、跳馬以外の5種目で決勝に駒を進めた。「疲労はあるけど、そこはチャンピオンらしく、“疲労が残っていません”というシラッとした顔で5種目やりたい」。空前のゴールドラッシュへ、内村の輝きはさらに増していく。

 ◆内村 航平(うちむら・こうへい)1989年(昭64)1月3日、長崎県諫早市生まれの22歳。両親が経営するクラブで3歳から体操を始め、東洋高進学と同時に単身で上京。日体大2年時に北京五輪に出場し、団体総合、個人総合で銀メダル。1メートル60、54キロ。

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