ママ頑張ったけど…赤羽、唯一の入賞も“力負け”

[ 2011年8月28日 06:00 ]

<女子マラソン>ゴール後、国旗を持って喜ぶケニア勢の横で悔しそうな赤羽(右)

世界陸上第1日 女子マラソン

(8月27日 韓国・大邱 国債報償運動公園発着42・195キロ)
 女子マラソンの日本勢は、赤羽有紀子(31=ホクレン)が2時間29分35秒で5位に入ったのが最高で、3大会連続のメダルはならなかった。優勝したエドナ・キプラガト(31=ケニア)らアフリカ勢が、32キロすぎでスパートを仕掛け、日本勢は一気に離されたが、赤羽は粘りの走りで日本人唯一の入賞を果たした。日本は尾崎好美(30=第一生命)が18位に沈むなど、上位3選手の合計タイムで争う団体も4位で初めて表彰台を逃した。また、ケニア勢が大会史上初めて表彰台を独占した。

 それまで17人で形成されていた先頭集団が、見る見るうちに崩れていった。平たんな周回コースを2周した32キロすぎ、アフリカ勢の4人が一気にスパート。35キロで仕掛ける作戦だった赤羽は「切り替えのスピードが凄過ぎた。思った以上のスピードだった」と追うこともできなかった。

 だが、06年に長女・優苗(ゆうな)ちゃんを出産し、08年北京五輪には日本で初めてママさんランナーとして出場(5000メートル、1万メートル)した赤羽は「足も動いていたし、最後まで諦めずに行こうと思った」とアフリカ勢に日本勢でただ一人食らいついた。35キロ地点では7位まで沈んだが、その後2人を抜いて5位でゴール。原動力はやはり愛娘の存在だった。

 「一番きつい」という39キロ地点で、優苗ちゃんの声援が母を後押しした。今大会は周回コースを3周するが3回とも声援は耳に届いた。2周目の「ママ行け~」の言葉には「まだ早いわよ」と笑いそうになった。前日には、覚えたばかりの平仮名で「まま、がんばって」と書かれた手紙をもらい、力走を約束した。1カ月に及んだ米コロラド州ボルダーでの高地合宿のため、20日の5歳の誕生日は一緒に過ごせなかったが、インターネット電話のスカイプで毎日会話。頑張る姿は絶対に見せたかった。

 1週間前に左膝を打撲するなど万全ではなかったが、09年ベルリン大会で31位だった赤羽が奮闘し、日本人唯一の入賞。ただ、喜んではいられない。優勝したキプラガトは、序盤の5キロは18分39秒の超スローペースだったが、35キロからの5キロは16分10秒。夫の周平コーチは「完全な力負け」と世界との差を痛感した。赤羽も「目標はメダルだったので、もう少し。残念です」と悔しさをにじませつつも「スパートの瞬間、ケニア人たちは何かしゃべっていた」と余力の差にがく然とさせられたのも事実。ロンドン五輪に向け、大きな課題を突きつけられた。

  ◆女子マラソン
(1)キプラガト(ケニア) 2時間28分43秒
(2)ジェプトゥー(ケニア) 2時間29分0秒
(3)チェロップ(ケニア) 2時間29分14秒
(4)ベケレ(エチオピア) 2時間29分21秒
(5)赤羽有紀子(ホクレン) 2時間29分35秒
(6)朱暁琳(中国) 2時間29分58秒
(7)アンデション(スウェーデン)2時間30分13秒
(8)王佳麗(中国) 2時間30分25秒
(10)中里 麗美(ダイハツ)  2時間30分52秒
(18)尾崎 好美(第一生命)  2時間32分31秒
(19)野尻あずさ(第一生命)  2時間33分42秒
(22)伊藤  舞(大塚製薬)  2時間35分16秒

[世]ラドクリフ(英国) 2時間15分25秒
[日]野口みずき 2時間19分12秒

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