遼くん、最下位→6位急浮上!「別人」の62!

[ 2010年12月4日 06:00 ]

3番、バーディーパットを決め声援に応える石川遼

 賞金ランク2位から逆転賞金王を狙う遼が運も味方につけて爆発した。男子ゴルフツアーの日本シリーズJTカップ第2日は3日、東京都稲城市の東京よみうりカントリークラブ(7016ヤード、パー70)で行われ、最下位から出た石川遼(19=パナソニック)はラッキーなショットと好調なパッティングで9バーディー、1ボギーの62で回り、通算2アンダーで首位と6打差の6位まで一気に浮上した。賞金ランク3位の池田勇太(24=日清食品)は69にまとめ、通算8アンダーで単独首位を守った。賞金ランク1位の金庚泰(24=韓国)はスコアを3つ落とし、通算1アンダーで10位に後退した。

 多くのギャラリーが見守る最終18番パー3。石川は最高の1日を最高の形で締めくくった。グリーン左のラフからピンまでは残り15ヤード。無心のアプローチはフックラインに乗ってチップインバーディー。歓声がわくのと同時にジャンプ、何度もガッツポーズを繰り返した。アンダーパーが8人と各選手が伸び悩む中、異次元の62。賞金王には優勝するしかない状況で6位へ急浮上した。「きのうとは別人のようなゴルフ。どこまでもついているなと思った」と神懸かり的な1日を振り返った。
 4番パー4では前日同様に左の林に曲げたが、落下地点に着くと木と木の間が「ぽっかり空いて」グリーンがはっきりと見えた。残り160ヤードから8Iで4メートルに寄せてバーディー。6番パー5でも第2打が左にそれたが木に当たってグリーン手前のラフに落下。次の第3打はピンに当たって1メートル手前で止まり、バーディーを取った。12番パー4は「完全にOBと思った」という右へ曲げた第1打が木に当たった後、カート道ではねてラフに出た。ここでもミスからバーディーを奪った。
 前夜から降り続く雨の恩恵も大きかった。水分を含んだグリーンは止まりやすくなった上、「自分が(パッティングの)タッチを合わせるというより、グリーンの方が僕にぴったりに仕上がった。恵みの雨だった」。ラウンドの大半を強風に悩まされた上位選手とは違ってトップスタートの石川は風が吹きだしたのも後半の13番以降。全ての条件が石川を後押しした。
 もちろん、運だけではない。76を叩いた前日は暗くなるまでショットの修正に時間を割いた。前夜は「とにかく情けない。悔しかった」と落ち込んだというが、この日もスタートが雨の影響で1時間遅れると聞くと、パッティングの感覚をつかもうと入念に練習を続けた。3番パー4では10メートルを沈め、プロ転向後の日本ツアー通算1000バーディーを奪った。「僕にとってバーディーは良い薬」と語った通り、序盤のバーディーで勢いに乗った。
 賞金王レースのライバルの池田も「(風の影響のなかった)トップスタートとしても62は凄い。何かしら持っているんだなというのを見せつけられた」と素直に称えた。首位の池田とは6打差。最下位に沈み「優勝は夢」と言った初日からたった1日で石川は優勝争いに加わった。「まだまだ自分に期待するのは早い。あしたのプレー次第。もう一度、良い集中力を持って回りたい」。残りは36ホール。もはや逆転は「夢」ではない。

 ≪62は自己2番目≫石川にとっての62はギネス記録にもなっている5月の中日クラウンズ最終日の58に次ぐ自己2番目の好スコア。また、日本シリーズでも07年にB・ジョーンズが記録した61に次ぐ記録となった。
 ≪通算1000バーディー≫石川は3番パー4でプロ転向後、日本ツアー通算1000バーディー(30イーグルを含む)を記録。その後も8バーディーを重ね、1008バーディーまで伸ばした。なお、アマチュア時代にも日本ツアーで93のバーディーを奪っている。

 ◆賞金王の行方 可能性があるのは賞金ランク1位の金庚泰、2位の石川、3位の池田の3選手。金庚泰との差は石川が約2883万円、池田が約3606万円。今大会の賞金は優勝が4000万円、2位が1500万円のため、石川も池田も優勝が必須。石川は優勝した上で金庚泰が3位以下か3人以上の2位タイになること、池田は優勝した上で金庚泰が9位以下かタイの選手がいる8位になることが条件。

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2010年12月4日のニュース