熱狂初場所 入場者数も視聴率もアップ!

[ 2009年1月26日 06:00 ]

 朝青龍の復帰が注目を集めた初場所は、両横綱の激突に超満員の両国国技館が熱狂して幕を閉じた。連日の取組に注目が集まり、チケットの売り上げやテレビの視聴率も急伸。急速な経済状況の悪化が伝えられる中、懸賞金の本数も増加に転じた。朝青龍の進退を懸けた復帰と復活優勝は、近年低迷していた角界に熱気を取り戻すきっかけとなるか。

 横綱同士の意地のぶつかり合いを見つめた両国国技館の大観衆からは、46本もの懸賞が懸かった本割でも、決定戦でも、異例の“白鵬コール”がわき起こった。しかし、朝青龍が優勝を決めると、温かい拍手と歓声が復活を祝福した。09年初場所は希代のヒール横綱の一挙手一投足に注目が集まり、アンチ朝青龍も巻き込んで異常なほどの盛り上がりを見せた。

 千秋楽の当日券を求めるファンは前夜午後10時から並びはじめ、徹夜組は10人出た。当日に残された自由席(2100円)339枚の最後の1枚をゲットした港区の会社員・三苫茂さん(38)は福岡在住の母親を呼んで初の相撲観戦。「今場所は盛り上がっているようなので、親孝行をしようと思った」と笑顔を見せた。場所を通じてチケット販売は好調で、朝青龍が3場所ぶりに復帰した昨年の初場所と比べても15日間で計2085枚の売り上げ増。満員御礼も昨年秋場所より1日多い、7日間となった。

 昨夏以降の景気の急速な悪化で落ち込んでいた懸賞金の本数にも、熱気が反映された。東京場所では直近の昨年秋場所が15日間で777本、11月の九州場所は691本だったのに対し、今場所は955本まで増加。千秋楽に限れば、九州場所の69本に対し112本と2倍近くに増えた。テレビ視聴率も好調で、中日の18日は午後5時からの1時間の平均視聴率が21・5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)まで伸び、全時間帯(午後3、4時台も含む)の15日間平均でも04年初場所(10・4%)以来となる2ケタが見えている。

 だが、かつての若貴ブームとは明らかに違う。白鵬コールはもちろん、土俵での態度に抗議の電話が殺到するなど、朝青龍の復活を歓迎する声ばかりでないことも事実。力士死亡事件や八百長疑惑、ロシア出身力士の大麻問題と不祥事続きだった相撲界にヒール横綱はありがたい存在となったが、盛り上がりは一過性の危険もはらんでいる。

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2009年1月26日のニュース