「私は帰ってきました」朝青龍 復活V!

[ 2009年1月26日 06:00 ]

優勝決定戦で白鵬を破った朝青龍、引退の危機どころか完全復活を遂げ髪を振り乱し歓喜のバンザイ

 強い朝青龍が帰ってきた。大相撲初場所千秋楽(25日・両国国技館)大相撲の横綱・朝青龍(28=高砂部屋)が横綱・白鵬(23=宮城野部屋)との優勝決定戦を制し、昨年春場所以来5場所ぶり、貴乃花を抜いて歴代単独4位となる23回目の優勝を飾った。結びで白鵬に敗れ1敗で並ばれたが、決定戦では会心の相撲でリベンジ。3場所連続休場による引退危機をはねのけ、90年九州場所の千代の富士以来となる全休明けでの復活優勝を果たした。

【初場所特集
取組結果


 勝ち名乗りを受ける朝青龍に、館内から投げられたざぶとんが直撃した。しかし、勝った瞬間から浮かべていた、子供のような笑顔が消えることはなかった。横綱昇進以降最長の空白を乗り越えた5場所ぶりの復活V。ヒール横綱らしく土俵上で両拳を突き上げ、花道でもバンザイとガッツポーズを繰り返したが、母国モンゴルの国旗が視界に入ると、たまらず目頭を熱くさせた。
 「最高だね。久しぶりに朝青龍に戻った。初日の相撲でやれるんじゃないかと思っていた」
 全勝で迎えた結びの白鵬戦は立ち合いで失敗。もろ差しを許し、何もできずに完敗した。しかし「逆に楽になった」と気持ちの切り替えも早かった。小泉首相が「感動した」と貴乃花を称えた01年夏場所以来の東西横綱による優勝決定戦。左の下手を引いて深く差し込み、右の前ミツも奪って寄り切った。大いちょうは激しく逆立ち、プライドを捨てて頭をつけた取り口が表れていた。
 喜怒哀楽たっぷりの“朝青龍劇場”は表彰式でも繰り広げられた。土俵下ではインタビューをさえぎり「私は帰ってきました」を連発。感極まると「長い間ケガに苦しんで、もう、こういう舞台に上がれないかという気持ちもあった。本当に上がれてよかった」と言葉を絞り出した。昨年名古屋場所で左ひじを痛め、九州場所まで3場所連続で休場。秋場所中には周囲に「もう引退するから」と漏らし、今場所も序盤で結果が出なければ「引退もあり得た」と明かした。だが、初日3日前の今月8日に出場を決断。「場所前の稽古でいい感じになっていた。自分では信じていた」と涙声で話した。
 たばこをやめ、食生活を改善した。ウオツカなら4、5本は空にする酒豪が乾杯のビール1杯を口にするだけで、後はもっぱらウーロン茶だった。夕食を終えると関係者の誘いも断り、午後10時には帰宅。長女イチンホルロちゃん(4)との時間を大切にして翌日に備えた。昨年末に153キロだった体重は148キロまで絞られていた。
 優勝回数は貴乃花を超えて歴代単独4位の23回となった。「完全復活?まあ優勝したので、まだまだ思い切って頑張っていきます」。関係者には「まだ2年はやりたい」と明かしている。進退問題と批判を結果ではね返した朝青龍が、再び相撲界の中心に帰ってきた。

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2009年1月26日のニュース