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こだわり旬の旅

【鹿児島&熊本】今も残る明治の港…天草石工たちの技術を見よ!

[ 2016年1月6日 05:30 ]

同じ世界遺産の三池港のモデルになったという三角西港。明治期の姿がそのまま残っているのは驚きだ
Photo By スポニチ

 鹿児島県で産出されなかった石炭を三池炭鉱(福岡、熊本県)から運び、中国・上海に輸出していた港として世界遺産に登録されたのが宇城市の三角西港。三国港(福井県)、野蒜(のびる)築港(宮城県)とともに明治の三大築港事業として1887年(明20)に開港した日本発の本格的な近代港湾施設だ。

 設計したのは内務省派遣のオランダ人水理工師ムルドル。埠頭だけでなく道路も水路も手掛け、山を削り海面を埋め立てるなどいずれも当時の日本の基準をはるかに超えたスケールだったという。施行に当たったのは長崎・天草の石工たちで、南北756メートルにわたる埠頭をはじめ当時の施設がほぼ原型のまま残存。「明治の港が完璧に残っているのは日本ではここだけ」と同市教育委員会世界遺産推進室の松村浩一さんの言葉にも力が入る。

 当時の道路幅と同じ国道57号が横断する町には歴史的建造物も多い。潮の干満で下水道の役割を果たす排水路、1902年に建てられた洋風の旧宇土郡役所、1890年に開庁、20年(大9)に新築移転され、92年(平4)まで裁判所として使われていた旧三角簡易裁判所など、じっくりと歩いて回りたい世界遺産だ。

 ▽行かれる方へ JR三角線三角駅からバスで約10分、車は九州道松橋ICから50分。問い合わせは宇城市商工観光課=(電)0964(32)1111、同市世界遺産推進室=(電)同1428。

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