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ザック監督迷走 香川外し、単純クロス、交代枠残し…

[ 2014年6月21日 05:30 ]

<日本・ギリシャ>厳しい表情のザッケローニ監督(AP)

 日本代表は19日(日本時間20日)、ナタルで行われたW杯ブラジル大会1次リーグ第2戦でギリシャ代表と対戦し0―0で引き分けた。アルベルト・ザッケローニ監督(61)は先発から主軸の香川真司(25=マンチェスターU)を外す勝負に出たが、不可解な采配が目立ち、またしてもチームを勝利に導くことができなかった。1次リーグ突破には24日(同25日午前5時)の最終戦で2戦2勝のコロンビアを破ることが絶対条件。決勝トーナメント進出は厳しい状況となった。

【試合結果 C組日程&順位表】

 4分のロスタイムが過ぎて試合が終了すると、ザックジャパンを大声援で後押ししていた1万3300人の日本人&地元サポーターもさすがに不満を爆発。ふがいないチームに、耳のつんざくようなブーイングを浴びせた。前半38分に相手が退場者を出して数的有利な状況で主導権を握りながら、まさかのスコアレスドロー。ザッケローニ監督はショックを隠し切れず「最後の一撃が足りなかった」と振り返った。

 またしても采配は振るわなかった。1―2で逆転負けした14日のコートジボワール戦、選手交代などで迷走した指揮官はこの日も揺れ動いた。

 (1)選手起用 就任から4年の間、本田とともに攻撃の軸に起用し続けた香川を先発から外した。試合後に「技術的でなく戦術的なチョイス」と強調。「相手サイドバックが強烈だったから、サイド攻撃を仕掛けて疲れさせるのが狙いだった。DFを広げる状況をつくりたかった。香川はサイドアタッカーだけど中に入る傾向がある。DF陣を広げられずフィジカルの戦いを挑んだら、とてもじゃないけど勝てなかった」と意図を説明した。

 コートジボワール戦後に次戦へ「4年間積み上げてきたサッカーができるかどうか」と話しながら、中心だった香川を初めて故障や温存以外で先発イレブンから外した。守備力がある岡崎を本来の右サイドから左に回して大久保を右に入れた。「選手の距離間が狭すぎてボール回しも遅かった」と不発の理由を説明したが、4年間で初めての布陣では、息の合ったコンビネーションを期待できるはずはなかった。

 (2)空中戦 先発11人の平均身長が1メートル83・5と日本を5・5センチ上回ったギリシャに対し、攻撃はサイドからの単純なクロスに終始。これにはブラジルのメディアにも試合後「日本人FWは背が低いのになぜクロスを上げ続けたのか?」と疑問を浴びせられた。

 (3)パワープレー さらに後半40分すぎには1メートル89の吉田を前線に上げ、初戦に続いてパワープレーを敢行した。そもそも指揮官は「日本人のDNAにない」と断言し、長身FWをW杯メンバーから外していた。初戦後には選手からも疑問を呈する声が上がった中、またしても自らの発言を完全否定する采配だった。

 (4)交代枠 疲れを見せていた相手DF陣に対し、効果的と思われた斎藤ら、ドリブラー投入もないまま交代枠を1枚残して終了。指揮官は「一対一を仕掛けられるスペースがなかった」と話したが、ではそもそもなぜ斎藤を招集したのか。采配は積極性も欠けていた。

 これでコロンビアとの最終戦に勝っても、1次リーグ突破は他カードの結果次第と厳しい状況になった。4年間の集大成と位置付けた大舞台でまさかの失態続き。勝利が絶対条件のコロンビア戦で巻き返しは期待できるのか…。真価が問われる戦いとなる。

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2014年6月21日のニュース