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手術明けスアレス 初出場2発「夢のようだ 最高」

[ 2014年6月21日 05:30 ]

<ウルグアイ・イングランド>前半39分、先制ゴールを決め歓喜するウルグアイのスアレス

W杯1次リーグD組 ウルグアイ2―1イングランド

(6月19日 サンパウロ)
 手術明けのエースがチームを救った。前回大会4強のウルグアイは、大会直前に左膝半月板手術を受けたFWルイス・スアレス(27=リバプール)が先発で今大会初出場して2得点を挙げ、イングランドを2―1で破った。初戦で格下のコスタリカに負けたが、強豪から勝ち点3をもぎ取った。

 負ければ1次リーグ突破が厳しくなるウルグアイの窮地を救ったのは、やはりエースだった。まずは技ありの先制弾だ。前半39分、スアレスはゴール前に走り込み、相手DFの裏に回った。左サイドのカバーニからのクロスに落ち着いて頭で合わせた。ボールはふわりと相手GKを越えてゴール左隅のネットを揺らした。

 1―1の後半40分には豪快な決勝弾を決めた。ウルグアイGKのキックを、競り合ったイングランドのジェラードは頭で後方にそらした。スアレスは素早く反応してそのボールを拾うと、迷うことなく右足を振り抜いた。リバプールの同僚の“アシスト”から強烈ゴール。試合後、仲間たちから抱え上げられ、称えられたエースは「夢のようだ。苦しみ、批判も受けてきたから最高の気分だ」と言い、涙を浮かべて歓喜に浸った。

 こんな劇的な復活を誰が予想していただろう。今季プレミアリーグで初の得点王となり、2位躍進の原動力となった27歳は、5月11日のリーグ最終戦でタックルを受けて左膝半月板を負傷。代表合宿中に痛みが出て、同22日に緊急手術を受けた。1―3で負けた初戦のコスタリカ戦ではピッチに立つことはなかった。ぶっつけでの先発出場だったこの日は、本来の運動量はなかったものの、持ち前の決定力を発揮。ボール支配率38%と劣勢のチームに70年大会準々決勝ソ連戦以来、44年ぶりとなる欧州勢からの勝利をもたらし、タバレス監督は「ハッピーエンドの映画のような試合だった。やっと勝てて特別な日になった」と喜んだ。

 前回大会では準々決勝のガーナ戦でシュートを手ではね返し、批判を浴びた。昨季のリーグ戦では相手DFにかみつく事件も起こした。「試合前、イングランドの人々は自分のことを笑っていた。今はどう思っているか知りたいね」と自信を取り戻した悪童の言葉は弾む。24日(日本時間25日)の次戦の相手はイタリア。厳しい戦いは続くが、エースの復活は何よりも心強い。

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