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美帆最下位…ホロ苦五輪デビュー

[ 2010年2月20日 06:00 ]

<バンクーバー五輪・Sスケート>ほろ苦い五輪デビューとなった高木美帆

 スピードスケート史上最年少代表、高木美帆(15=北海道・札内中)の五輪デビュー戦は最下位だった。女子1000メートルで今大会初レースに臨んだが、1分19秒53で完走者の中では最下位の35位だった。小平奈緒(23=相沢病院)が1分16秒80で5位に入り、この種目で88年カルガリー、92年アルベールビル両大会の橋本聖子に並ぶ日本勢最高の成績を挙げた。

【女子1000m結果】

 ほろ苦い五輪デビューだった。「普通に滑ったつもりだったけれど…。言葉にするのは難しいけれど、いろいろな感情が交ざっていた。緊張しました」。1カ月にも及ぶ海外遠征の疲労、初めてのシニア国際大会が五輪という重圧、同走した地元カナダの実力者レンプルへの大声援。6組に登場した高木は大きく引き離されてゴールし、最下位の35位に終わった。大きな外国勢の中で、少女の体は細く見えた。

 苦手なアウトスタートで、最初の200メートルは昨年末の五輪代表選考会より0秒06遅いだけの18秒93。本来ならここから加速するが「(スピードが)出ていないなあと感じた。体は動いたんですけれど、空回りした」。目標だった1分17秒77の自己ベストに1秒76届かなかった。

 夢の舞台だった。札内中ではスケートとともにサッカーにも取り組んできた。昨年7月の十勝地区決勝。こぼれ球を押し込んで2点目を決め、3―0で快勝した後、人前で見せたことのない涙をこぼした。「体を2つにしたい」。スケートのカルガリー合宿に参加するため、8月の全道大会欠場を決めた。全国の15歳以下の女子有望選手が集まる合宿に参加した実力を持つサッカーを犠牲にしてスケートに懸けた。そして、代表選考会で五輪切符をつかんだ。

 全国的な注目を集め、取材攻勢に「疲れた」と周囲にこぼすこともあった。それでも、舞い上がらない冷静さが強みだ。周囲からの過剰な期待に対し「目標は自己ベスト」と自らに言い聞かせてきた。この日も落胆を表に出さず「悔いが残るところもあるし、いい経験になったというところもある」と淡々と話した。

 最後の1周は30秒台とまずまずのラップタイムをマーク。21日には得意の1500メートル、26、27日には団体追い抜きが控えており「雰囲気はつかめたので、この経験を生かしたい」と先へ目を向けた。15歳が五輪でつかめるものは、まだまだたくさんある。

 ≪両親は孝行娘ねぎらう≫スタンドには地元の北海道・幕別町から両親やスケート選手の姉・菜那(17)ら計13人が応援に駆けつけた。父・愛徳さん(52)は「タイム的には納得できないと思うけれど、普段通り頑張ったんじゃないかと思う。これも経験ですね」と語った。母・美佐子さん(47)は「落ち着いてから、お疲れさまと言いたい。応援できたことに満足しています」と孝行娘をねぎらった。

 ≪橋本団長「まだこれからの選手」≫日本選手団の橋本聖子団長は高木について「彼女はまだこれからの選手。未知数な部分が多い。五輪という舞台を知っただけでいい」と語った。1500メートルについては「1回滑ったので、自分の本当の滑りができるでしょう」と“学習能力”に期待した。また、0秒08差でメダルを逃した小平については「眠れないんじゃないでしょうか。この積み重ねが五輪。この悔しさが4年後につながる」と話した。

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2010年2月20日のニュース