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原田、鈴木組 中国に競り勝ち銅メダル!

[ 2008年8月21日 06:00 ]

デュエットフリールーティン決勝 演技を終えた鈴木、原田組を笑顔で迎える金子正子チームリーダー(右から2人目)

 【北京五輪・シンクロ】シンクロ日本が伝統を守った!!シンクロナイズドスイミングのデュエット・フリールーティン(FR)決勝が行われ、日本の原田早穂(25)、鈴木絵美子(26)組はテクニカル・ルーティン(TR)との合計を97・167点として、銅メダルを獲得した。ライバル中国のショウ文文(21)、ショウ・テイテイ(21)組に0・833点差で競り勝った。日本はシンクロが五輪に採用された84年ロサンゼルス五輪から7大会連続のメダル獲得となった。

 メダル確定を待つ必要はなかった。演技を終えて、電光掲示板に映し出された日本の「2位」を確認すると、原田が泣いた。そして鈴木も泣いた。その順位が示すのは先に演技を終えたスペインと中国の間に日本が入ったということ。日本の後には3組残っていたが、すぐに熱いものがこみあげてきた。
 鈴木が「得点よりランクに目が行った。うれしいというより、本当にホッとした」と興奮気味に話せば、原田は「とにかくメダルを守ることができてうれしい」と声を詰まらせた。TRで中国から奪ったリードをFRでさらに広げて、ロシア、スペインに次ぐ3位。日本シンクロ7大会連続のメダルを死守した。
 アテネ五輪後に引退した2大会連続銀メダルの立花、武田の後を引き継いだ原田と鈴木を待っていたのは苦難の連続だった。経験のない2人は05年にはスペインにあっさり世界2位の座を明け渡した。06年12月のアジア大会では急成長を遂げる中国に負けた。アジアで初の屈辱だった。さらに追い打ちをかけるように、中国代表には井村元日本代表コーチが就任。本番を占う今年4月のプレ五輪でも中国に敗れた。「崖っ縁というより、崖下に突き落とされた」(鈴木)とメダルは風前のともしびとなった。
 それでもあきらめるわけにはいかない。打倒・中国だけに的を絞った。中国の双子ペアは細くて長い脚を持ち、表現力にたけている。鈴木は「私たちにはないものを持つ中国人に対して、自分たちが何ができるかを考えた」という。導いた結論は持ち前のパワーとスピードを前面に出すこと。5月から肉体改造とプログラムの改良に取り組んだ。
 1日10時間の水中での練習に加え、プールの外では穴の開いた350ミリリットルのペットボトルを口に当てて吸って吐いてを繰り返す独自の練習で肺活量をアップ。水中では「頭がフワーッとなる」(原田)限界まで潜り続けた。気持ちで負けそうになると、鈴木は「やってやるんだ、チクショー、って2人で言い合ってました」と汚い言葉で励まし合った。そして、完成させたのがFRラストの約20秒間続く高速の連続足技。この大技が中国ペアも、北京のアウェーの観客をものみ込んだ。
 金子チームリーダーは「日本はロス(84年)から勝ち続けなければいけないと思ってきたから強いんです」と胸を張った。22日からはチームが始まる。まだまだ油断はできないが、目標とする全種目メダル確保へ――その第一歩を踏み出した。

 ◆原田 早穂(はらだ・さほ)1982年(昭57)11月5日、東京都生まれの25歳。洗足学園大付高―日大卒。ミキハウス、東京シンクロク所属。小2からシンクロを始める。練習好きの努力家。アテネ五輪チーム銀メダル。世界選手権のデュエットは05年3位、07年はTR3位。1メートル66、56キロ。

 ◆鈴木 絵美子(すずき・えみこ)1981年(昭56)11月12日、埼玉県生まれの26歳。淑徳巣鴨高―日大卒。ミキハウス、東京シンクロク所属。小3でシンクロを始める。天才肌で足技を得意としている。アテネ五輪はチームで銀メダル。世界選手権のデュエットは05年3位、07年はTR、FRとも3位。1メートル68、57キロ。

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2008年8月21日のニュース