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西山が劇打!心臓疾患抱えて殊勲サヨナラ

[ 2008年8月21日 06:00 ]

オーストラリア戦で決勝進出を決めるサヨナラ打を放ち、ガッツポーズして喜ぶ西山

 【北京五輪・ソフトボール 日本4―3豪州】息詰まる熱戦にピリオドを打ったのは西山だった。タイブレークも5回目に入った12回1死満塁。震えるほど緊迫した場面で放った打球は中前に痛烈に飛んでいった。その瞬間、日本ベンチからナイン全員が飛び出してサヨナラ勝ちの歓喜を分かち合った。「午前中(の米国戦)は自分のミスで負けたので、それを取り返そうと必死でした」。興奮さめやらぬ口調で殊勲の一打を振り返った。

 好機に強い24歳だが生後間もなく心臓に先天性の異常が見つかった。「大動脈弁狭窄(きょうさく)・閉鎖不全症」。激しい運動は死に至る危険性もあり、持久走や吹奏楽は禁じられた。
 しかし好きなスポーツをあきらめきれず中学からソフトボールを始め、14歳の時に米国の臓器提供バンクからドナーが現れたとの知らせを受けた。交通事故で亡くなった同じ14歳の少女の心臓弁が米国から届き、移植手術は8時間を要した。その後も試合中に気を失うなど、周囲を心配させることもあった。移植した心臓弁の耐久年数は15年で、すでに10年が経過。いずれは再手術を受ける必要もあるが「元気あふれるプレーで、病気をしている子供たちに勇気と希望を与えたい」と、今は喜びを感じながら北京での日々を過ごしている。
 ただ、日本の打線全体にとっては喜んでばかりもいられない。2試合連続でタイブレークに突入したのも拙攻が目立ったことが原因だった。4番打者の馬渕は「最後にこういう戦いになるのは分かっていた。上野のために頑張ろうとみんなで話していましたが」と振り返った。2度敗れた米国に3度も敗れるわけにはいかない。主将の山田は「もちろん作戦はあります。今は言えませんが」と攻略法を胸に、リベンジへの闘志を燃やした。

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2008年8月21日のニュース