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【1980年3月】贈る言葉/海援隊 卒業式の定番曲は半ばおまけのように作られた

[ 2012年3月21日 06:00 ]

★80年3月ランキング★
1 贈る言葉/海援隊
2 大都会/クリスタル・キング
3 唇よ、熱く君を語れ/渡辺真知子
4 不思議なピーチパイ/竹内まりや
5 道化師のソネット/さだまさし
6 ランナウェイ/シャネルズ
7 さよなら/オフコース
8 秋止符/アリス
9 とまり木/小林幸子
10 Hey Lady優しくなれるかい/庄野真代
注目かなしみ笑い/中島みゆき
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【贈る言葉/海援隊】

 80年3月21日、TBSの連続ドラマ「3年B組金八先生」の第22話は舞台となった桜中学の卒業式のシーンを放映した。79年10月26日の初回放送の平均視聴率16・6%と当時のドラマとしては平均以下の数字で始まったが、22話は38・0%と倍以上の数字をはじき出した。翌週の最終回は39・9%。まさに“化けた”ドラマだった。

 番組視聴率が上がるとともに売り上げが急上昇したのが、ドラマ主題歌。金八役を演じた武田鉄矢率いる3人グループ「海援隊」が歌う「贈る言葉」は3月の卒業シーズンを迎えると、各チャートで軒並み1位を獲得。オリコンでは3月10日から6週連続、TBS「ザ・ベストテン」では3月27日から5月1日までこちらも6週連続1位に輝いた。

 「金八」スタート直後の11月1日発売した直後はほとんど話題にならず、79年の2カ月で売れたのはたった1万2000枚程度だったが、年明け、特に卒業式シーズンの3月には月間で50万枚近くをセールス。各店舗では品切れが続出。「早くプレスしてくれ」という催促がレコード会社に殺到した。

 山田洋次監督作品の映画「幸福の黄色いハンカチ」のコミカルな演技で、俳優としての素質を開花させた武田。福岡教育大出身で教師を目指していたという経歴に目をつけた番組プロデューサーが出演を依頼、主題歌も発注した。正直、それほどヒットすることを期待せずに制作されたドラマで、武田自身も主題歌のイメージがわかずに苦労していた。

 同時進行していたアルバム作りの候補曲として、海援隊のメンバーである千葉一臣と中牟田俊男が、武田が作った3篇の詞に対して曲を付けることになった。その際に千葉がラジオから流れてきた、ジェームス・ディーン主演の映画「エデンの東」にヒントを得て、4曲目としてデモテープの終わりに入れた。

 「もし良かったら…」的なノリで出したものだったが、それを聴いた武田は翌日に歌詞を付けた。これが「贈る言葉」だった。半ばおまけのように作られた歌は、計95万枚のセールスを記録。長く卒業の定番ソングとして歌い継がれ、40代以上の人々の心にいまだに染み渡る曲になっている。

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