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【1973年3月】怨み節/梶芽衣子 「キル・ビル」で30年ぶりに脚光 笑わない名女優

[ 2012年3月25日 06:00 ]

 ★73年3月ランキング★
1 学生街の喫茶店/ガロ
2 女のねがい/宮史郎とぴんからトリオ
3 中学三年生/森昌子
4 ひなげしの花/アグネス・チャン
5 女のみち/宮史郎とぴんからトリオ
6 怨み節/梶芽衣子
7 愛への出発(スタート)/郷ひろみ
8 若草の髪かざり/チェリッシュ
9 春のおとずれ/小柳ルミ子
10 円山・花町・母の町/三善英史
注目同棲時代/大信田礼子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【怨み節/梶芽衣子】

 03年10月に公開された、クエンティン・タランティーノ監督の映画「キル・ビル」。この中で日本人女性が歌った2曲が挿入歌として使われている。

 情念たっぷりに歌い上げているのは、日本の名女優梶芽衣子。72年、梶主演の映画「女囚さそり」シリーズの挿入歌「怨み節」と翌73年公開の「修羅雪姫」の主題歌「修羅の花」がそれ。梶の映画を鑑賞し大ファンになったタランティーノ監督が、大いに影響を受けて撮った作品が「キル・ビル」。梶へのオマージュから生まれたと言っていい作品だった。

 40代以上の人にとっては「懐かしい」2曲だが、キル・ビルを観るような若者には、誰の歌だかさっぱり分からない。映画会社には問い合わせが殺到し、それを聞いた梶もびっくり。「どこでどう使うかは聞かされていなかった。お役に立つならどうぞ」と軽い気持ちで使用を許諾したが、30年ぶりに脚光を浴びたことでレコード会社も再発売をすることになった。

 37万枚のレコードをセールスした「怨み節」は、梶の最大のヒット曲。当時、生意気、わがまま、笑わないなどと評されていた梶のイメージをさらに増幅させたのが「さそり」シリーズの4本の映画だった。

 恋人に裏切られ、おまけにいわれなき罪で刑務所に収監された松島ナミの復讐劇を描いた作品。梶はナミのキャラクターについて一つの考えがあった。映画ではリンチやひどい仕打ちがこれでもか、というくらい繰り返されるが、「騒いだり、わめいたりするよりも、何もしゃべらない方が不気味で怖い。主役がセリフなしっていうのもおもしろい」と、監督に提案した。

 さすがにセリフなし、というわけにはいかなかったが、極端に口を開くことを抑え、目の動きや表情でナミの怨念を表現した。その分、ナミの心情を余すところなく語る役目を果たしたのが、「怨み節」という挿入歌だった。

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