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【1997年3月】魂のルフラン/高橋洋子 「何か歌う歌ある?」から64万枚のヒット

[ 2012年3月7日 06:00 ]

 ★97年3月ランキング★
1 CAN YOU CELEBRATE?/安室奈美恵
2 サーキットの娘/Puffy
3 ダイナマイト/SMAP
4 FAIRBALL/B’z
5 君に逢いたくなったら…/ZARD
6 魂のルフラン/高橋洋子
7 Everything(It’s you)/Mr.Children
8 くじら12号/JUDY AND MARY
9 トラブルメイカー/相川七瀬
10 The Other Side of Love/坂本龍一 featuring Sister M
注目夫婦みち、まごころの橋/オーロラ輝子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【魂のルフラン/高橋洋子】

 自分の歌っている歌が売れている、という実感はなかった。アニメ「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」の主題歌「魂のルフラン」のヒットに、高橋洋子はどこか“ひとごと”のような気がした。「たまたま人気のアニメ映画の主題歌を歌っただけ。すごいとすれば、エヴァンゲリオンがすごいというだけ」。

 エヴァの主題歌はこれが初めてではなかった。テレビアニメの「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」を歌ったのが95年10月。この時のいきさつがおもしろい。

 「何か歌うものない?」高橋がそう尋ねると、知人の音楽関係者は答えた。「アニメの主題歌の話ならあるよ」。エヴァが社会現象になるほどのヒットになる前の話。タイトルも内容すらもわからず、歌う歌があるのなら、と引き受けた。

 合唱団で知り合い結婚した両親のもとに生まれた女の子は2歳からピアノを始め、大学は音大。声楽を学んだ。オペラの世界とは全く違う、もう一つの音楽の世界に飛び込んだのは19歳の時。久保田利伸のバックコーラスのオーディションを受けた。

 実は極度に緊張し、声がまともに出せなかった。間違いなく落選、と思っていた矢先に合格の知らせがあった。満足に歌えなかった中でも、久保田だけはその力量を見逃さなかった。周囲の反対を押し切り、「この子とやってみたい」と言って採用が決まった。

 久保田だけでなく、松任谷由実らのバックも務めてキャリアを積み、91年にソロデビュー。92年には日本レコード大賞の新人賞を受賞した。

 コーラスを経験したことで、曲の雰囲気に合わせて、しっとり歌ったり、情熱がほとばしらんばかりにシャウトしたりと、その領域が広い高橋。64万枚をセールスした「魂のルフラン」は、アニメのヒットもさることながら、高橋の歌声に心揺さぶられて手に取った人も少なくない。

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