365日 あの頃ヒット曲ランキング 3月
最終回 【1975年3月】22才の別れ/風 一晩徹夜で書き上げたヒット曲は狙っていた
★75年3月ランキング★
1 22才の別れ/風
2 我が良き友/かまやつひろし
3 昭和枯れすすき/さくらと一郎
4 私鉄沿線/野口五郎愛の迷い子/アグネス・チャン
5 スモーキン’ブギ/ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
6 年下の男の子/キャンディーズ
7 おんなの夢/八代亜紀
8 学校の先生/坂上二郎
9 この愛のときめきを/西城秀樹
10 ひとり歩き/桜田淳子
注目みかん色の恋/ずうとるび
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。
【22才の別れ/風】
ヒット曲になることを意識して、徹夜しながら一気に書き上げた曲だった。
伝説のフォークグループ「かぐや姫」を解散し、こちらもフォークグループ「猫」の元メンバーだった大久保一久と新コンビの「風」を結成した伊勢正三が作詞、作曲を手掛けた「22才の別れ」は、レコード売り上げ71万枚を記録。発売1カ月弱の3月3日付のオリコンチャートで1位となって以来、4週続けてトップ。75年のヒット曲の中で岩崎宏美の「ロマンス」に次ぐ7番目に売れたレコードとなった。
「風」のデビュー曲となった歌だが、発売は2月5日。かぐや姫の解散コンサートに先立つ2カ月前にリリースし、3月には既にレコード売り上げや有線放送で上位にランクされ、卒業シーズンを迎え、別れがテーマになるとさらにクローズアップされ、ラジオの電話リクエストなども大幅に増えていった。
「風」の結成を意識して作った歌だったとは思えないが、ヒットを意図して作ったことは間違いないようだ。「22才…」は74年3月発売のかぐや姫のアルバム「三階建ての詩」に収録。実は名曲「なごり雪」と並んで、伊勢が本格的に作った最初の曲だった。その出来の良さからシングルカットして発売したいとするスタッフもいたが、結局はアルバムに入ったままでかぐや姫は解散することになった。
伊勢は当時を振り返り「なごり雪は自分の原風景である故郷を意識して作ったが、22才の別れは、ある程度ヒットを狙って作った」とインタビューなどで回想している。メロディーもそうだが、歌詞がとてもリアリティーがあって女性のハートをつかんだ。
当時22歳といえば、結婚を十分意識する年齢だった。本当は17歳から青春を一緒に過ごしてきた彼に心はあるものの、5年という長すぎた春に女性がけじめをつけ、違う男性のもとに嫁ぐという“ストーリー”は、いつまでも結婚したくない男の優柔不断さと早く幸せになりたい女の現実的な心理を描いた、共感しやすい内容だった。
共感こそヒットの源。今も昔もそれは変わらない。(今回でこの連載は終了します。長い間、ありがとうございました)
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