藤井七段、最年少タイトルなるか 羽生九段は「激戦」予想、ポイントは“勝負勘”

[ 2020年6月8日 05:30 ]

棋聖戦8日開幕 レジェンドが占う大一番の行方

かなりの激戦になると展開を予想した羽生九段(右)
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 将棋の第91期棋聖戦5番勝負が8日、都内で開幕する。高校生棋士・藤井聡太七段(17)が“現役最強”の渡辺明棋聖(36)に挑む。タイトル戦出場最年少記録を樹立する藤井が、今度は屋敷伸之九段(48)の18歳6カ月のタイトル獲得史上最年少記録の更新を目指す。両対局者の共通点は中学生でプロになった中学生棋士。その先輩である羽生善治九段(49)が“藤井の強さ”を分析。大一番の行方を占った。

 史上最多のタイトル獲得99期を誇る羽生は両者をどう見るのか。「充実著しい」と渡辺を評し、藤井については棋聖戦決勝トーナメントの準決勝(2日)、決勝(4日)を通じて「結果だけでなく内容も高度」とした。

 とりわけ目を見張るのが、その成長力だ。17歳10カ月20日でタイトル戦出場の最年少記録を樹立することになった、決勝の永瀬戦について「最高峰の戦いでした」とし、藤井の勝因について「見切りが素晴らしかった」。その終盤、露出した自王が永瀬の馬2枚に肉薄されながら「それで大丈夫と判断できるとは」と驚いた。

 詰将棋解答選手権を5連覇中の藤井。その解析能力は、相手王を詰ますことにもたけるが、詰みがないとの判断力にも発揮された。有利不利には言及しなかったが「かなりの激戦」と予想した。

 ポイントとして挙げたのが勝負勘だ。日本将棋連盟は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月11日から100キロ以上の移動を伴う対局を休止。対局の大半は、東西の将棋会館で行われるため、愛知県在住の藤井は対局機会がなくなった。4月10日に関西将棋会館で王位戦挑戦者決定リーグ白組で勝って以来、今月2日が自己最長53日ぶりの対局だった。

 渡辺も3月25、26日にフルセットに突入した第69期大阪王将杯王将戦7番勝負以降、新年度は5月1日の1局のみで、藤井戦がぶっつけ本番になる。2、4日の結果を踏まえ「藤井さんはブランクがあっても問題なかった。久しぶりの渡辺さんの出来次第」と読み解いた。

 渡辺とはタイトル戦を通算9度戦い、羽生の4勝5敗。一方、藤井とは昨年10月の王将戦挑戦者決定リーグなどで対局し、0勝3敗。タイトル獲得100期を目指したその王将リーグでは2連勝発進後、藤井に敗れて挑戦権争いから後退した。「一手一手読みが入っていた印象。非常に力強く指された」と脱帽した。

 羽生にとって中学生棋士の後輩でもある渡辺と藤井。5番勝負を前に、両者には1度対戦がある。昨年2月の朝日杯オープン戦決勝。藤井が勝って連覇を達成した。ただ、同棋戦は持ち時間40分。今回は4時間ある。「持ち時間が違いますから。本当にどっちが勝ってもおかしくない」と強調した。

 ▽過去の渡辺VS藤井 昨年2月16日、東京・有楽町朝日ホールで開催された朝日杯オープン戦決勝。連覇がかかる藤井の後手で、戦型は雁木(がんぎ)。中盤渡辺に攻め合う手順があったが、そこを逃してからは藤井が攻勢に。128手で渡辺が投了。

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