エンゼルス・大谷が“やきゅうの日”に二刀流新伝説10勝 ルース超え2年連続2桁勝利&2桁本塁打

[ 2023年8月11日 02:30 ]

インターリーグ   エンゼルス4ー1ジャイアンツ ( 2023年8月9日    アナハイム )

<エンゼルス・ジャイアンツ>5回、ウェードを中飛に打ち取りガッツポーズする大谷(撮影・沢田 明徳)
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 二刀流が新たな伝説になった。エンゼルス・大谷翔平投手(29)が9日(日本時間10日)、ジャイアンツ戦に「2番・投手兼DH」で出場。6回3安打1失点(自責0)で10勝目を挙げ、「野球の神様」と称されるベーブ・ルースも達成できなかった2年連続「2桁勝利&2桁本塁打」を成し遂げた。夏場の連戦で疲労の蓄積と闘いながら、10勝&40本塁打もメジャー史上初。チームも7連敗後に2連勝を飾った。

 この男、勝利への執念も並外れている。0―1の6回無死一塁。大谷はピダーソンへの初球を投げた際に足を滑らせ、バランスを崩した。疲労の蓄積は疑いようがない。腰に手を当てて険しい表情を浮かべると、フィル・ネビン監督、トレーナーらが慌てて駆けつけた。指揮官に「ガス欠のような状態」と伝えたものの降板という選択肢はない。鬼気迫る表情で続投。二ゴロ併殺打で危機を脱した。

 「終始、自分の状態に納得していなかった。何とか6回まで投げたという感じ。勝ったのは結果オーライ」

 本人は「結果オーライ」と言ったが、その白星には大リーグ史に新たに刻まれる大きな意味がある。ベーブ・ルースですら達成できなかった未到の領域である2年連続の「2桁勝利&2桁本塁打」。1920年から野手に専念したルースに対し、大谷は投打が分業化されてはるかにレベルアップし、移動など過酷な環境にある現代で二刀流を続ける。その価値は計り知れない。

 「勝ち星は援護がないとつかない。(個人成績を重視するのは)メインのことではないので、あまり気にすることなく、もっともっと今年中に積み上げられるように」。この日が真夏の16連戦の最終戦。連戦中は脇腹や両脚ふくらはぎ、右手中指のけいれんに見舞われ、前回4日のマリナーズ戦は4回で降板した。食事、睡眠など徹底した自己管理を続け、規格外の活躍で“宇宙人”と称されることもあるが、あくまで一人の人間。疲れは蓄積する。「疲労はみんなピークなんじゃないか」。今季欠場はわずか2試合で、5月3日から86試合連続でスタメン出場を続ける「鉄人」。なぜか。チームの勝利に貢献することが自分の使命だと分かっているからだ。

 打撃は2打数無安打。6回無死二塁では両リーグ最多の16度目の敬遠で歩かされたが新加入のムスタカスの3ランで勝ち越した。7連敗後の連勝で勝率5割に復帰。ワイルドカード圏内まで7ゲーム差で厳しい状況だが、大谷は「可能性がある限り諦めることはない」と試合後の会見で最も大きな声を出した。

 昨年、ベーブ・ルース以来104年ぶりに「2桁勝利&2桁本塁打」を達成した日も同じ8月9日だった。「8(や)9(きゅう)の日」。野球の神様に愛される大谷にふさわしい、メモリアルな日になった。(笹田 幸嗣通信員)

 ▼ジャイアンツのゲーブ・キャプラー監督(二刀流で活躍を続ける大谷について)いま明らかに球界最高の選手。才能と努力、知性と冷静さの組み合わせだと思う。

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