ソフトB・泉「成長しないといけない」誹謗中傷の恐怖…救ってくれた仲間とファンへ恩返し誓う

[ 2022年12月8日 05:00 ]

現状維持でサインし会見するソフトバンク・泉(撮影・中村 達也)
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 自分の手で悪夢を振り払う。ソフトバンクの泉圭輔投手(25)が7日、ペイペイドームで契約更改交渉に臨み、現状維持の年俸2700万円でサインした。今季は優勝マジック1で迎えた10月2日、ロッテとのシーズン最終戦で逆転3ランを浴びてチームは2年ぶりのリーグ優勝を逃した。世間から厳しい視線を浴びながらも、立ち直った右腕。悲劇を成長の糧として、来季のフル回転を誓った。

 悪夢から66日が経った。契約更改交渉を終えた泉は「10・2」の現実を正面から受け止め、苦い夜を回想した。

 「最終戦の結果が一番、悔いが残る。あの1試合の印象が強すぎて、良いシーズンだったとは言えない」

 心に刻まれているのは優勝マジック1で迎えた10月2日、ロッテとの最終戦。2―0の6回、2番手として登板も山口に逆転3ランを浴び、「頭が真っ白の次元が違うくらい真っ白になった」。チームは2年ぶりのリーグ優勝をオリックスにさらわれ、号泣。「九州のファンを全員敵に回してしまった気持ちになって、めちゃくちゃ怖かった」。SNSなどの誹謗(ひぼう)中傷を受け続け、外出することすら、恐怖に感じた。

 支えになったのはチームメートやファンの存在。敗戦後には女房役の甲斐と、ブルペンの中心にいる嘉弥真に焼き肉に連れ出された。「いつ誰に何をされるか分からない」と宿舎の部屋まで嘉弥真が迎えに来て、甲斐とは手をつないで夜道を歩いたという。ファンからは応援メッセージが多数届き、「励ましていただいたからこそ、成長しないといけないと思える。あの経験を二度としないためにも、来年は今年以上に頑張らないといけない」と雪辱を誓っている。

 今季は30試合に登板し0勝2敗、防御率3・72で、勝ちパターンから敗戦処理までフル回転。ブルペンでは後半戦救援陣最多の120回以上も肩をつくった。見えない“登板”も評価され、現状維持の2700万円でサイン。「基本的に毎日肩はつくっていたし、1日で5、6回つくる日もあった。ブルペンでの仕事ぶりを評価してほしかった」とアピールに成功したようだ。

 来季は真価が問われる5年目。もう一度、同じ場面で登板するイメージを持ち、「マウンドに上がれるチャンスがあるなら上がりたい。10月2日の結果はもう、関係ない。ここで結果を残してこそ、一人前なのかな」と泉。もう、怖いものはない。 (福井 亮太)

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2022年12月8日のニュース